山田　特にしなかったですね。先入観を持ってしまうのが僕は嫌なので。どちらかというと、自分の野球をしたい派というか。もちろん、打者の立場からは、相手投手の持ち球とか、ある程度、情報は入れます。けど、それも深く踏み込み過ぎないように気をつけていました。情報を入れ過ぎると、それに振り回されてしまうこともあるので。

1、3打席目は「何の問題もなかった」

――初回、浅野君との最初の勝負では、外の変化球を片手で拾われ、レフト横の二塁打にされてしまいました。あれはツーシームですか？

山田　カットボールです。

――うまいことやられたな、という感じでしたか。

山田　あれは別に気持ちのいいバッティングはさせていなかったので、気にならなかったですね。浅野自身も、納得のいくバッティングではなかったと思います。

――五回に巡ってきた浅野君の第3打席はツーシームを拾われ、三遊間を破られました。この場面は、ストレートをホームランにされた後だったので、ほぼツーシームでしたね。

山田　スピードボールで（球を）動かしたかったんです。このとき、サードが長打を警戒して、ライン際に寄っていたんですよね。そのぶん、三遊間が広くなっていて、抜けてしまった。なので、あのヒット自体は、何の問題もなかったと思います。

©Hideki Sugiyama

プロを見据えて“1年時”にツーシーム習得

――この夏は、あのツーシームでどんどん三振を奪う姿が印象的でしたが、いつ頃から投げていたのですか。

山田　1年生のときから投げていました。上のレベルにいって木のバットの打者と対戦することになったとき、できるだけ完成度の高い変化球を持ってスタートラインに立ちたかった。そのつもりで練習を始めたら、思った以上にいい感覚のボールになってきたという感じです。

――三回のホームランを打たれた打席は、実は、伝令で「敬遠でもいいぞ」というような指示を受けていたんですよね。

山田　まあ、どちらでもいいと言われたら、自分は勝負以外選ばないので。

――打って変わって、5-3のリードで迎えた七回表、1アウト一、二塁の場面。この試合、4度目となる浅野君との対決は、塁が詰まっていたにも関わらず、監督の判断で申告敬遠の指示がありました。

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