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「一人でプレッシャーを抱え込むPKのシーンが好き」スポーツクライマー・楢﨑智亜の個人競技ならではのサッカーの見方とは 

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2022/10/17 11:00

「一人でプレッシャーを抱え込むPKのシーンが好き」スポーツクライマー・楢﨑智亜の個人競技ならではのサッカーの見方とは<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

体脂肪率は2%前後という驚異的な肉体で、楢﨑選手はボール片手に軽やかにホールドを掴んだ

――スタジアムで日本代表の試合をご覧になったことはありますか。

楢﨑 野球やラグビーは見に行ったことはありますが、サッカーはまだ一度もスタジアムで観戦したことはありません。球場で野球を観戦したときに感じたのは、観客の盛り上がりのすごさで、テレビで試合を見るのとは全然違いました。サッカーも生観戦したことはないのですが、撮影で一度だけ日産スタジアムに入ったことがあって。もちろん、観客はいなかったですけど、スタンドを見て「これだけの人数が埋まるのか」と圧倒されました。だからサッカーの日本代表戦のゴール裏の盛り上がりはうらやましいです。もちろん、プレーしている方は緊張もするだろうし、プレッシャーも大きいでしょうけど、それも1つの経験になって自分の力になると思うので。

 6万人もの観客が入ることなんてクライミングではないですからね。でも、次のオリンピックが開催されるパリはクライミング好きな人、関心がある人が多くて、大会が行われると毎回1、2万人ぐらいの人が集まるんです。だから、2024年のパリ五輪は楽しみにしています。

チャレンジする気持ちがあればいい

――やはり観客が多い方が燃えるタイプですか。

楢﨑 燃えますね。僕は2016年に初めて世界選手権で優勝したのですが、その時も観客の熱気がすごかった。選手が登場しただけでワーッと沸いて、あれは僕ら選手たちのテンションが上がります。コロナ禍で観客がいないときはちょっと独特な雰囲気でしたし、寂しかったですね。

――昨年、東京五輪を経験されましたが、4年に一度の大舞台を迎える日本代表選手に今エールを送るとしたらどんな言葉をかけますか。

楢﨑 僕の場合は、4年に一度の五輪で優勝候補に挙げられていたこともありましたし、現役中に母国で五輪を迎えるなんて滅多にないことなので、「失敗したくないな」という思いが強くなりすぎてしまったんです。ただ、今振り返ると、そういった感情はいらなかったな、と。あの状況でも、チャレンジする気持ちで臨んでいればよかった。だからこそ次のパリ五輪は挑戦する気持ちを忘れずに向かいたいと思います。日本代表のみなさんも、カタールではチャレンジしながら攻め続けてほしいですね。僕もスマホで試合をチェックしたいと思います!

(構成=石井宏美)

楢﨑智亜(スポーツクライミング)(ならさき・ともあ)

1996年6月22日、栃木県生まれ。幼少期に器械体操を経てクライミングに転向、14年に高校3年でワールドカップに初出場し、卒業後プロクライマーに。16年には世界選手権優勝など好成績を残し、世界ランキング1位となる。東京五輪では予選2位でメダルも期待されたが、決勝では惜しくも4位にとどまった。

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