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「一人でプレッシャーを抱え込むPKのシーンが好き」スポーツクライマー・楢﨑智亜の個人競技ならではのサッカーの見方とは
text by
渋谷編集室 with ABEMASports Graphic Number with ABEMA
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/10/17 11:00
体脂肪率は2%前後という驚異的な肉体で、楢﨑選手はボール片手に軽やかにホールドを掴んだ
――PKといえば、2010年の南アフリカ大会の決勝トーナメント1回戦のパラグアイ戦は今も語られることが多いのですが、楢﨑選手が印象に残っているPKとは。
楢﨑 W杯なら2018年ロシア大会のコロンビアとのグループリーグ第1戦で、香川選手が決めて先制したPKのシーンですね。あと、W杯ではないですけど、埼玉スタジアムで行われた2014年ブラジル大会の最終予選で、オーストラリア戦のアディショナルタイムに本田圭佑選手がど真ん中に決めたPK。あれだけの緊張感のなかでもど真ん中に蹴る攻める気持ちはすごいなと思いましたし、圧倒されましたね。
――PKシーン以外で気になるプレーはありますか。
楢﨑 ちょっと気になっているのは、ゴールを決めた後のパフォーマンスですね。クライミングでは日本は完登したらガッツポーズをするぐらいなんですけど、ヨーロッパの選手は完登した後にどういうふうに会場を盛り上げるかということをいろいろと考えていて、上で体を反ったり、地上に降りてから銃を打つようなパフォーマンスをする選手もいるんです。課題を登る前にも観客を煽るような選手もいて。でも、あれは「このトライでいける(完登できる)」と相当自信がないとできない。そうやって自分にプレッシャーをかけることで力を出しているんでしょうけど、僕も今後はちょっと考えたいと思います(笑)。
クライミングのハイシーズンとは
――W杯は通常6~7月開催なのですが、今回のカタール大会は気温の高さを考慮して11月開催となりました。ヨーロッパの国々や大半の選手がヨーロッパでプレーする強豪国にとっては大きなプラスになります。
楢﨑 クライミングも世界選手権が8、9月に行われるのですが、ボルダリングのシーズンが終わり、リードの大会が少しあってから行われるので、実はすごくいいタイミングなんです。逆に、ボルダリング、リードのジャパンカップはオフ明け直ぐの1、2月に開催されていて、選手はエンジンがかかっていない状態。パフォーマンスもハイシーズンに比べるとまだ作り上げられていないですね。カタール大会はシーズン真っ只中で体も切れている状態で臨める選手が多いということだと思うので、より注目したいです。