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中学日本代表・4番は大阪桐蔭で…「ストレスで15kg減」から最強世代のレギュラーをつかんだ日「『もう1回、桐蔭でやれ』って言われたら…」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2022/10/12 11:03
2018年、史上初2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭。「最強世代」の“成り上がり選手”石川瑞貴はセンバツ直前にレギュラーをつかんだ
栄光の日々を封印して…社会人野球の今
思い入れの深い大阪桐蔭での生活を、石川は今、「封印している」という。それは、栄光にすがることなく、いち社会人選手として勝負したいからでもある。
大学ではなく社会人チームのホンダ鈴鹿を選んだのは、石川本人の意思だった。「同じ高いレベルでやるのなら、大学よりも社会人のほうがいい」と、社会人の最高峰である都市対抗野球への出場25回、優勝経験もある強豪の門を叩いた。
4年目の今年まで公式戦での出場機会は少ない。それでも石川は卑屈にならず、「試合経験は大学生のほうがあるかもしれないけど、引き出しは自分のほうがあるんで」と頷く。
石川にとっての「引き出し」とは主に守備だ。主戦場をサードに戻しつつ、ファーストも守り、セカンドにも挑戦している。基礎を叩き込む過程で「バッティングにも生きる」ことを知った。サードで言えば、グローブでボールを捌く左手以外は、ほとんどが右方向への動作である。ゴロに対しての身体の入れ方、軸足の使い方、スローイング。一連の流れは、右打ちの石川にとってスイング時の体重移動に繋がってくるのだという。
大阪桐蔭の衣を脱ぎ捨てた、ホンダ鈴鹿の石川瑞貴。生粋の負けず嫌いは目をぎらつかせ、グラウンドで汗を流す。
「試合には出たいですよ。出るために練習してますし、技術が上がってる実感があるんで」
語気には迫力がある。
成り上がりは、まだ道の途中。
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