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フェリス卒“スターダムの貴婦人”桜井まいが内に秘めた狂気と変身願望「女子プロレス界のダース・ベイダーになりたい」《特別グラビア》
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/10/07 17:03
その経歴から“リングの貴婦人”と称される桜井まい。ユニット移籍やハードコアマッチを経て、プロレスラーとしての成長を実感しているという
目指すは「女子プロレス界のダース・ベイダー」
今年2月にコズエンからDDMに移った桜井。自らの意志でのユニット移籍だったが、最初はカルチャーショックを受けたという。
「DDMの練習に驚きました。こんな練習するのか、と。それくらいハードでした。腹筋を鍛えるのにグーパンチでガンガン殴られる。次の日にはあざができて痛いんですよ」
DDMを率いるジュリアは桜井にとって特別な存在だ。
「練習に対する姿勢は厳しいですけど、終わった後は、すごく優しい先輩ですね。ジュリアは自分のことだけじゃなくて、責任をもって私を育てようとしてくれた。私に時間を費やしてくれた。それは本当に感謝しています。それに、プロレスラーとして常に視野を広げているし、相手に返すひとつひとつの言葉のチョイスがすごく面白い。相手を傷つけるだけじゃない、お客さんにも響く。センスがある人だなぁ、と」
強烈なカリスマだけでなく、ジュリアは献身的な一面も持っている。
「いつもセコンドについて、試合を見てくれる。試合の後は遠征先のホテルで集まって、『ここはよかったね』『ここがダメだったね』って反省会です。周りを巻き込みながら、みんなで上がっていこうと考えているのが凄い。ジュリアの周りにはそういう人が集まってくる。その点、私はまだまだ足りないですね……」
ユニットを変えるという大きな決断が、プロレスラーとしての桜井を成長させたのは間違いない。DDM加入当時は「必要以上に本当の自分とは違う自分を演じていた」というが、今は自然体で振る舞えるようになったという。
「中野たむは優しいから、きっと私が抜けることも、ちゃんと話したら許してくれるんですよ。そうしたら、ほかのメンバーもそうなるじゃないですか。それじゃダメなんです。対戦する時に、中野たむにとって『ムカついて絶対許せない相手』として意識される存在になりたかった。移籍するときにコズエンに対して捨て台詞を吐いたのも、とことん嫌ってくれ、と思っていたから。『もうコズエンに戻ることはできない』と自分を縛りたかったし、逃げ道を残したくなかった。なんなら、『みんな嫌ってください』くらいに思っていました」
そうして生まれたコズエンとの因縁も、現在の桜井まいを形作る糧になった。「時間が経って、『DDMに来てくれてありがとう』という声が多くなってきた」と明かしつつ、桜井は自分を人気映画の“ある人物”にたとえてこう語った。
「もうコズエンにいた時代を忘れかけていますね。『スター・ウォーズ』わかりますか? 気持ち的には、ダース・ベイダーになったアナキン・スカイウォーカーみたいな……。ダース・ベイダー、大好きなんですよ。いっそのこと、女子プロレス界のダース・ベイダーになりたいですね(笑)」
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