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“フェリス卒お嬢様”桜井まいは激痛ハードコアマッチで何を学んだ?「自分が弱すぎて…」涙に暮れた日から“憧れ”ジュリアと肩を並べるまで
posted2022/08/03 11:00
text by
原壮史Masashi Hara
photograph by
Masashi Hara
7月30日、大田区総合体育館。女子プロレス団体・スターダムの真夏の最強女子決定戦、『5★STAR GP』が開幕した。
2ブロックに各13人ずつがエントリーし、史上最多の計26人が頂点を目指す今年の大会は、まず22選手の出場が決定。残り4枠のうち1つは推薦枠となり(※SAKI)、3枠を巡って10選手がエントリーする出場権争奪リーグが開催された。6月28日の後楽園ホール大会で、最後の最後に出場権を掴んだのが、ドンナ・デル・モンド(DDM)の桜井まいだ。
なぜコズエンからDDMに移籍したのか
2020年にアクトレスガールズでプロレスデビューを果たした桜井は、2021年7月25日のスターダム後楽園大会に登場。フェリス女学院大学を卒業後、俳優やタレントとして活動していた“お嬢様育ち”の30歳(当時)は「強さを求めてこのリングにやってきました」と挨拶すると、8月13日のスターダム初戦でいきなりウナギ・サヤカが持つフューチャー・オブ・スターダムのベルトに挑戦した。試合には敗れたものの、桜井はコズミック・エンジェルズ(コズエン)加入を直訴。リーダーの中野たむがそれを認め、コズエンの一員として活動していくことになった。
ウナギとの試合後、「本当に強くなりたい」「応援していただいた人に、もっともっと強くなってお返ししていきたい」と目を輝かせていた桜井だったが、『桜井まいスターダム・チャレンジ』(十番勝負)が行われると、実力差を痛感させられた。本人の口からも「試合中何回も心が折れそうになった」というコメントが飛び出し、特に最初の2戦は対戦相手からも「まだまだ成長してもらわないと困るな」(1戦目後、林下詩美)、「もうちょっと頑張ってほしかったよ」(2戦目後、渡辺桃)と言われるほど、これといった“爪痕”を残すことができないまま終わってしまった。
そんな苦しい状況で迎えた3戦目の相手は、桜井にとって憧れの存在でもあるジュリアだった。
9月4日、ベルサール新宿グランド大会。桜井は懸命に立ち向かっていったものの、結果は「とにかく自分が弱すぎて、何もできなくて……」と涙するものになった。しかし、ジュリアはこの時「なかなか楽しませてもらいました」という言葉で、懸命にもがく桜井を評価していた。
同25日には、桜井と同じくスターダムに参戦した月山和香とのダブル・チャレンジマッチを制して初勝利を記録したものの、その後は思うような結果を手にすることができなかった。すると、今年1月3日、DDMの新戦力として登場したテクラの餌食になった桜井に、ジュリアがこう問いかけた。