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フェリス卒“スターダムの貴婦人”桜井まいが内に秘めた狂気と変身願望「女子プロレス界のダース・ベイダーになりたい」《特別グラビア》
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/10/07 17:03
その経歴から“リングの貴婦人”と称される桜井まい。ユニット移籍やハードコアマッチを経て、プロレスラーとしての成長を実感しているという
「今は電流爆破だってやってみたい」
2019年の夏、知人に誘われてアクトレスガールズを見に行ったことが、桜井がプロレスの世界に足を踏み入れるきっかけとなった。
「安納サオリさんと才木玲佳さんがタイトルかけて戦っていた。カッコよかったですね。そのタイミングで『よかったらやってみない?』と誘われて、『やりたいです』と即答しました。これまで芸能の仕事などをやってきましたが、これが最後の挑戦だと覚悟を決めてプロレスをやろう、と。だからどんなに辛くても諦めずにやって、初めてプロレスを見た時の2人のように、タイトルをかけて、メインを張れる選手になりたいと思って始めました」
だが、いざ始めたら不安が募った。
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「年齢は気にしなかったというか、自分がやると決めたことだから何か始めるのに年齢は気になりませんでした。プロレスの衝撃ですか? まず、ロープが痛い。ロープがあんなに痛いものだとは思わなかったです。受け身もすごく痛い。それでも『やります、続けます』と言ったけれど、できないことだらけで、このままだとデビューできないかもしれないとも思いました」
もともと桜井はプロレスをほとんど見たことがなく、「バラエティ番組に出ていたので、北斗晶さん、アントニオ猪木さん、蝶野正洋さんは知っていました」くらいの知識しか持っていなかった。もし、もっと前にプロレスを知っていたら、もっと早くプロレスラーになっていたかもしれない。
紆余曲折を経てハードコアマッチまで経験した桜井は、サラリとこう口にした。
「人間ってやろうと思ったら、なんでもできるもんですね。今は電流爆破だってやってみたいです」
桜井は9月14日で32歳になった。だが「まだまだやめるつもりはありません。やりたいことあるし。もっともっとお騒がせしないと」と年齢は意に介さない。また“貴婦人”や“お嬢様”というイメージも、あまり意識したことはないという。
「人によっては、高飛車なイメージを持たれているのかな。別にお嬢様でもないですけどね。本当に普通ですよ(笑)。大学生くらいまでは尖ったところもあったかもしれませんけど、芸能界やプロレス界で揉まれるうちに角が取れたのかな……」