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水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
「息子に辞めないでって言われたら辞められへん」「34歳で寮生活ですよ(笑)」乾貴士がエスパルス移籍の経緯を水沼貴史に明かす
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byMasashi Hara/Getty Images
posted2022/10/07 17:01
乾貴士がかつての“師匠”である水沼貴史氏に、清水エスパルス移籍の経緯などを明かしてくれた
水沼 本当にたくさんの人たちに感謝しないといけないね。練習に呼んでくれたファジアーノ岡山の木山(隆之)監督とは交流があったの?
乾 代理人が一緒だったこともあって、3、4年前に木山さんがスペインに来たときにご飯を食べてサッカーの話をたくさんしたんです。それ以降は付き合いがあるわけではなかったんですけど、練習参加という話をいただきました。
水沼 そういうことだったのか。大勢でサッカーをできる喜びを感じたでしょう?
2カ月の空白「トラップってどうやるんだっけ?」
乾 みんな本当に優しくて、すぐに受け入れてくれました。でも自分の感覚が全然違うというか、2カ月ぐらい時間が空いたので目が慣れなくて、頭もついてこない。
水沼 天才でも2カ月も空けば鈍るんだ。
乾 いやいや(笑)。最初の練習とか恥ずかしかったですもん。たぶんみんな「乾、めっちゃ下手になってるやん」と思ったと思いますよ。プレッシャーのある状態でちゃんとパスを受けてこなかったから、自分でも「トラップってどうやるんだっけ?」って感じでしたから。
水沼 トラップが一番上手い選手なのに(笑)。でも、乾貴士という選手が来た効果なのか、岡山はJ1昇格に向けてものすごくいい位置にいるわけですよ(10月7日時点で3位)。
乾 僕がいたことは関係ないと思いますよ。もとからすごくチームの状態はよかったですし、木山さんの戦い方も臨機応変で、選手の状態を見ながら練習のアプローチも変える。その辺はすごいなと感じていました。
水沼 勉強になる時間だったんだね。
岡山の練習参加で感じ取れた「必死さ」
乾 セレッソの時にJ2でやったことはありましたけど、当時は戦力差も大きかったと思う。でも今はどのチームも拮抗しているし、岡山のようなJ1を経験したことがないチームもレベルが高かった。何より必死さみたいなものがすごい伝わってきたんです。34歳でなかなかそういう刺激を感じられることはないじゃないですか。(喜山)康平くんにもご飯連れてってもらったし、宮くん(宮崎智彦)も仲良くしてくれた。年下の選手たちもイキイキとしていて雰囲気が素晴らしかったですね。
水沼 サッカー人生の原点に戻った感じだ。清水からはいつ声がかかったの?