「息子に辞めないでって言われたら辞められへん」「34歳で寮生活ですよ（笑）」乾貴士がエスパルス移籍の経緯を水沼貴史に明かす

本当に辞めようかなと思っていましたね

水沼　それは自分の考えがみんなと合わないとか？

乾　うーん、一番は自分自身の出来が良くなかったのが大きいですね。いろんな葛藤がありましたし、あとは監督が替わったばかりでチームの中で統一できなかったことも多かったです。

セレッソ大阪時代の乾　©Getty Images

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水沼　そこから少し難しい時期を迎えた。一度クラブ（セレッソ）との関係をリセットする決断をしたわけだけど、一時期サッカーができない状況になったわけじゃない？　それは自分でどう整理していた？

乾　本当にもう辞めようかなと思っていましたね。もちろん、サッカーをやりたかったんですけど、チームに戻れない状況になってしまったので、もう辞めた方がいいのかなって。いろんな方に相談しましたし、息子にも言いました。

水沼　息子は何歳になった？

乾　もう12歳ですよ。小学校6年生。この辺（肩ぐらい）まで身長あります（笑）。

水沼　一緒にゴロゴロ寝てた子が12歳か。でも、もう何でも理解できる年齢だね。

乾　ちょっと前に怪我した時は「このままサッカーできなくなるかもな」と言ったら「いいんちゃう？　頑張ったんやし！」って感じだったんですけど、今回は「辞めないで」と。まさか息子にそんなこと言われると思っていなかったので、正直びっくりして。そう言われたら「辞められへん」となって（笑）。

水沼　たぶん、納得がいかなかったんだよね。身体のことが原因じゃなかったから。

乾　いろいろ息子なりに感じ取っていたのかもしれないです。J1は無理かもしれないよ？と言っても、それでもいいから続けてほしいと。やっぱり子どもは最強ですよ（笑）。

「玉田さん、酒本さんに救われました」

水沼　そこからちゃんとトレーニングしなきゃと切り替わった？

乾　クラブから許しを得て練習場を使わせてもらいながら、しばらくは1人で練習していました。でもフィジカル的なメニューもこなさないといけないので、途中から外部のトレーナーさんにお願いしていました。

水沼　その時は寂しい気持ちはなかったの？　それともまた頑張ろうという気持ち？

乾　どっちもありましたよ。もちろん寂しかったです。でもその時に玉田（圭司）さんとか酒本（憲幸）さんが練習に付き合ってくれたんですよ。それで楽しくて、めちゃくちゃ救われましたね。あとはトレーナーさんが知り合いの学生も呼んでくれて。そういう子たちにも助けてもらいました。

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