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「感謝、拍手、分断、反発…」賛も否もコントラスト強めなスポーツ紙の“国葬報道”で、どこより辛辣だったのは?

posted2022/10/02 06:00

 
「感謝、拍手、分断、反発…」賛も否もコントラスト強めなスポーツ紙の“国葬報道”で、どこより辛辣だったのは?<Number Web> photograph by KYODO

日本武道館に設けられた祭壇。内閣府は国葬の参列者数を速報値として4183人と公表した

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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 スポーツ新聞といえば社会面も読みどころです。世の中で大きな出来事があると一般紙は何面にもわたって細かく報じますが、スポーツ紙はポイントがわかりやすくて見出しもキャッチー。まずスポーツ紙の社会面で「世の中の気分」をおさえてから、一般紙をじっくり読むという順番もおススメです。

 先週9月27日は安倍元首相の国葬がおこなわれました。直前まで世論も賛否が割れていたこの案件。スポーツ紙はどう伝えたのでしょうか。国葬翌日(9月28日)の紙面を見てみよう。

 まずサンケイスポーツ。

『悲しみと感謝 日本武道館にあふれ 安倍元首相国葬』
『献花の大行列 途切れぬ弔意』

 20面と21面を使って報じていた。『「国葬反対」デモ隊も』は20面の端っこにあった。サンスポは系列の産経新聞が国葬に合わせて、紙面に掲載する安倍氏の追悼広告をクラウドファンディングで募集していた。そんなことも併せて考えると論調としては「ザ・国葬」モードという感じ。

菅前首相のバイト先

 続いてスポーツ報知。

『55年ぶり戦後2例目 安倍元首相国葬 賛否の中厳戒態勢』

 こちらも2面にわたっていたが、報知が大きく取り上げていたのはこの人。

『菅前首相弔辞に会場が拍手』

 菅義偉氏の弔辞の要旨を大きく掲載していた。政治ジャーナリスト田崎史郎氏による「今回のハイライト」というコメント付き。「菅と報知」といえば、菅氏が法政大学の学生時代に報知でバイトしていたというのが報知の「売り」である。昨年暮れには菅氏が社会面大賞という企画を「受賞」していた。

『報知社会面大賞!! 菅前首相 「えーウソ!? …感動しております」 総裁選よりコロナ対策優先 手腕再評価の声も』(スポーツ報知2021年12月29日)

 というわけで今回も報知の“菅推し”を味わいました。

【次ページ】 「最後」連発の激辛論調

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