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大谷翔平との日々は「感謝してもしきれない」カート・スズキと日本人選手の温かい交流「松井はジョークが大好き」「同じ鈴木で嬉しいよ」 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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photograph byGetty Images

posted2022/10/01 17:03

大谷翔平との日々は「感謝してもしきれない」カート・スズキと日本人選手の温かい交流「松井はジョークが大好き」「同じ鈴木で嬉しいよ」<Number Web> photograph by Getty Images

エンゼルスでは大谷翔平とバッテリーも組んだ捕手カート・スズキ。現役引退を表明した彼に、日本人メジャーリーガたちとの思い出を聞いた。

「彼ほどに厄介な選手はいなかった(笑)。同じ名前だし、同じチームでプレーしたかったよ(笑)。イチローには誰が何を投げたって打たれちゃう。足も速いからね。でも、足が速いから内野安打が多いわけではないんだ。彼はいつだってフルスイングする。内野手はそのスイングで身構えてしまう。そこに緩いゴロが来れば野手のスタートは遅れるというものさ。仲間の内野手がそんなことを言っていたのを思い出すね。

 厄介なバッターだったけど、彼と話すのは楽しかった。彼ほどにバットコントロールが巧みな打者はもう2度とお目にかかれないと思っている。同じ『鈴木』で嬉しいよ(笑)」

 実はメジャーには「鈴木」の名でプレーした選手が4人いる。「鈴木さん」に全員の名がわかるかを聞いてみた。答えは100点満点。オチまでつけてくれた。

「イチロー、ミー(me)、セイヤ、マックだね! オークランド時代、僕はマックとはキャンプで一緒(05年)だった時期があるんだ。彼の名前は『誠』、僕は『清』だよ(笑)」

 フルネームは「Kurt Kiyoshi Suzuki」。愛されるキャラクターであることはこんなところからも伺える。

松井秀喜は「ジョーク・スター」だった

 そんな「鈴木さん」は松井秀喜さんともチームメートとなった。11年シーズン。松井さんが37歳でアスレチックスに在籍した時のことだった。

「彼ほどに素晴らしい人間性を持っていた選手はいない。ベストと言えるかもしれない。信じられないくらいいい人だった。ジョークが大好きでね。僕は『ジョーク・スター』と呼んでいた。

 彼が選手として日米で成し遂げたことはエリートだ。彼がいた頃のジャイアンツ(日本)はヤンキースと一緒だったと聞いたんだ。伝統があり、常勝を求められ、そこで中心選手としてプレーし結果を出す。彼が背負ってきたものが彼のプレーにはにじみ出ていた。野球には状況に応じてすべきプレーがあり、彼は必ずそれを遂行した。だから、ヤンキースでもあれだけ愛されたのだと思う。

 1年間だったけど、彼と一緒にプレーできて幸運だった。でも、僕の中では『ジョーク・スター』。面白い人だったなぁ」

【次ページ】 大谷翔平とのバッテリー「感謝してもしきれない」

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