「誰もが野球に対して貪欲で、それなのに自分よりもチームのことを優先する姿勢というんですかね。例えば若手やレギュラーではない選手たちも力を持っていて、いざ三浦（大輔）監督からスタメンを任されると結果を出すことができる。やっぱり出場機会が少なくても、しっかり準備をしているから、いざというときに自分のスタイルを表現できるんでしょうね。そこはすごく感心させられましたし、そういった個々の頑張りが今年のチーム成績に結びついているのかなって」

　そんななか大田はグラウンドで覇気を見せる一方、ベンチでは徹底してチームメイトをサポートする役目にまわった。自ら明るい雰囲気を醸し出し、また仲間を鼓舞するだけではなく、悔しい思いをしている若い選手に寄り添いアドバイスを送る。期待の若手である森敬斗が凡打をして落胆しベンチに引き上げてきた際、大田がポンポンと軽く頭を叩き、声を掛けていたシーンは印象的だった。

失敗するなら思い切って失敗してほしい

「若い選手というのは経験が少ないですし、やっぱり1試合で良いモノや悪いモノが出てしまう。そこで僕ら先輩が彼らを後押しする。若手であっても選ばれてフィールドに出ているわけですから活躍してくれなければ勝ちに繋がらない。僕もいろいろな経験をしてきたので『こうしたらいいんじゃないか』って、ちょっとした話はさせてもらっています。とにかく若い選手は、失敗するなら思い切って失敗して、成功するときは思い切って成功して、それを自分の自信に変えていってもらいたいんですよね」

　大田の言葉が熱を帯びる。高校卒業後、鳴り物入りで巨人に入団し、なかなか結果を出せず苦しんだ時期が長かった大田ならではの想い、そして説得力がその言葉には宿っていた。いい緊張感を持ちながら、若手が伸び伸びと力を発揮する環境を作ってあげたい。

新人時代の大田泰示　©Hideki Sugiyama

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　そう若手の背中を押す一方で、DeNAには大田が見習うべき頼りになる先輩たちもいる。宮﨑敏郎や伊藤光、そして大和らとの会話は確実に大田の力になっているという。

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