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「とにかく野球の話をしているときが一番楽しい」大田泰示32歳が、DeNA移籍1年目で得た新しい感覚「若い選手には思い切って失敗してほしい」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2022/09/26 11:05
8月6日、移籍後初となるサヨナラ打を放った大田。喜びの感情を爆発させ、三浦監督とも抱擁。お立ち台では「ヨコハマ、サイコー!」と叫んだ
初めの一歩。劇的な場面ではなく、今季のスタートを切った1本目のヒットを挙げたところに、紆余曲折を経て移籍してきた大田の真摯な想いが感じられた。
CSをどう戦う?
さてチームはリーグ2位を確定させ、2019年以来のプレーオフ進出が決定。まだまだ頂点を賭けた戦いはつづくわけだが、大田は2014年に巨人で、2018年に日本ハムでクライマックスシリーズ(CS)を経験している。日本一を目指すDeNAは、果たしてCSでどのように戦えばいいのだろうか。あの舞台を知る大田はしばし考え、口を開いた。
「やはり見えているのが日本シリーズなのでプレッシャーも掛かると思うんです。けど結局、勢いのあるチームが上がって行くのかなって。ジャイアンツ時代、リーグ優勝してファイナルに挑んだ際、タイガースに4タテを食らったのをベンチで見ていたんです。終始タイガースのペースでしたし、向こうの野球をされていたなって。おそらく難しい試合の連続になるでしょうけど、とにかくベイスターズらしく、いいところを存分に出し切ることが大事。勢いはありますから、まずは雰囲気に呑まれないことですね」
経験の浅い若い選手が多いDeNAにとって、大田のような経験豊富な存在が“楔(くさび)”となり、CSで戦うチームをムードよく引き締めてくれるだろう。
あきらめることなくワイワイやっていきますよ
「チームの様子を見つつ、自分の力のすべてを出し切りたいんですよ。難しいことではあるのですが、とにかく思い切って野球をやる。すべてにおいて後悔しないように、気持ちを前面に出していきたいですね」
野球ができる喜びを心の底から享受し、今を生きる大田はポストシーズンのキーマンとして仲間とともに厳しい戦いへと挑んでいく。
「全員が前を向いていますし、あきらめることなくワイワイやっていきますよ」
最後に大田はそう言うと、頼もしく微笑んだ。日本一へ向け、本当の『横浜反撃』はこれからだ。
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