プロレス挑戦で話題、フワちゃんの指導も

「目立ちたいという気持ちは私にもあります。でもそれ以前に、しっかりした実力があれば埋もれてしまうことはないんだと思ってます。見てくれている人は必ずいますから。ましてプロレスに正解はないので。“目立つ”形にもいろいろあるんですよ。たとえば月山和香はまだ勝ったことがない。でも頑張ってやっていたら、お客さんがみんな“月山の初勝利が見たい”って応援してくれるんです。そういう目立ち方があるのもプロレスなんですよ」

　基礎を重視しながら、葉月が捉えるプロレスの幅は広い。先日、プロレス挑戦が発表されて話題になったタレントのフワちゃんの指導にも携わっている。

「フワちゃんはもう、プロレスの才能の固まりですね。“芸能人が中途半端にやってるだけだろ”って思う人もいるでしょうけど、全然そんなことないです。できる限り道場に来るし、私たちも時間を合わせて教えに行く。試合が終わってからフワちゃんの指導をする時もあります。みんなで協力し合ってるんですよ。道場では一般の練習生と同じように厳しく接してます。ケガ、最悪の場合は命に関わるのがプロレスだということも教えてます。

　フワちゃんの才能は運動神経と負けん気。普通なら尻込みするようなことも“一回やってみます”とトライできるんです。やってみて納得できなかったら何回でもやりますし。そうして“もう道場を出ないと間に合わない”っていうギリギリまで練習して、着替えもせずに次の仕事に行くんです。フワちゃんへの批判はあって当然ですけど、それはデビュー戦で覆せると思います」

他の選手とは異なる“俯瞰のスタンス”も、葉月の魅力のひとつだ

考えることをやめない、プロレスラー葉月の姿勢

　そしてフワちゃんが試合をする10月23日には、葉月は「5★STAR GP優勝者」になっているかもしれない。指導者として団体全体に目を配りながら、選手としてもトップに立つ。それは葉月にしかできないことだ。

「私のことを引退して出て行ったヤツだと思っている人にも、リーグ戦優勝っていう結果は確実に伝わるじゃないですか。もちろん周りの選手も何か思うはず」

　自分はレスラーとして、「完全な努力型」だと葉月は言う。同期に天才肌のコグマがいたから、不器用さを余計に痛感した。受身も技も、とにかく回数をやって身につけた。動きのポイント、理屈も常に考えた。それが指導にも役立っている。

「できない子がなぜできないか、どんな気持ちでいるか、どうすればできるようになるかが分かるので」

　プロレスとは何か。正解のないジャンルでも、考えることはやめなかった。自分の試合ぶり、プロレスに対する姿勢が他の選手たちへのメッセージになれば。少しでもいい影響を与えられれば。そんなことも考えながらリングに上がっている葉月が優勝すれば、その意味はスターダムにとって相当に大きなものになるだろう。

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