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芸能界で苦しんだ“女優レスラー”青野未来がリングで見つけた輝き方「今やっと、プロレスが“武器”になった」《特別グラビア》
posted2021/12/12 06:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Takuya Sugiyama
青野未来(みく)はタレントで女優で、なおかつパワーファイターである。
彼女はプロレスラーとして“女優によるプロレス団体”アクトレスガールズに所属。関口翔(かける)とのKKMK(カケミク)コンビで団体のタッグ王座を保持している。
「モーニング娘。になりたかった」
子供の頃は「モーニング娘。になりたかった」。小学生で『LOVEマシーン』、『恋愛レボリューション21』、ミニモニが出てきて加護亜依のファンになったという世代だ。ただその時はオーディション応募資格に年齢が足りなかった。
芸能の世界に進みたいという気持ちを抱きながら高校を卒業し、専門学校へ。芸能事務所にスカウトされたこともあったが、母親の反対を押し切ることができなかった。
「もともとそういう性格なんです。やりたいことを絶対に貫き通すというタイプじゃなくて。やりたいことができなくても“まあ仕方ないか”とか“できないのも理由があるんだろうから”と一歩引いちゃうんですよね。最初はプロレスでもそうでした」
それでも就職の時期になると「やりたいことがあるのに……」という思いが強くなった。事務所に所属し、タレントとしての日々が始まる。映像、演劇、バラエティにグラビアと一通りやってみた。グラビアの企画で、現在スターダムで活躍する白川未奈と一緒だったこともあるそうだ。オーディションで映画の主演に選ばれたこともある。ただ、続けるうちに行き詰まりを感じるようにもなっていた。
「私には、芸能界でやっていくための“武器”が何もなかったんです。趣味はたくさんあるけど、どれも特技とまでは言えないレベル。何かずば抜けたものがないと、芸能界では厳しいんだなと」
人生を変えた“ある言葉”
そんな時に、知り合いを介してアクトレスガールズの代表、坂口敬二と会うことになった。プロレスへの誘いだ。
「絶対、スターになれる」
そんな言葉で勧誘された。「今となっては、みんなに言ってたって分かるんですけど(笑)」と青野。とはいえ当時の自分に対してそこまで熱心になってくれるのは坂口だけだとも思った。“女優でプロレスラー”は確かに“武器”になるとも。
「自分でやってみるまで、プロレスについてはまったくの無知。テレビでちょっと見たことがあるくらいで、それも男子の試合でした。“デカい、怖い”というイメージでしたね。でもアクトレスガールズの先輩たちの試合を見させてもらうと、凄くキラキラしていて。何より頑張っている姿に感動しました。体を張って頑張るというのは、大人になるとなかなか機会もない。自分も頑張りたいと思えたんです」