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リオ五輪金“タカマツ”が歩むそれぞれの道…母になった高橋礼華に聞いた、“元相棒・松友と夫の混合ダブルス”をどう思う? 

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石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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photograph byL:JMPA R:Ayaka Kaneko

posted2022/08/28 11:02

リオ五輪金“タカマツ”が歩むそれぞれの道…母になった高橋礼華に聞いた、“元相棒・松友と夫の混合ダブルス”をどう思う?<Number Web> photograph by L:JMPA R:Ayaka Kaneko

現在は子育てに奮闘中の高橋礼華。元相棒・松友美佐紀は夫・金子祐樹と混合ダブルスのペアを組む

 20年8月の引退後、夫である金子との結婚を発表した高橋は、今年2月に第一子となる長女を出産した。

「まだ2年しか経っていないのに、引退してもう5年ぐらい経ったというような気分です(笑)。現役時代はバドミントンしかしていなかったので一日がとても長く感じたんですが、とくに子どもが生まれてからは、本当に一日があっという間で。『あっ、もう夜だ。子供をお風呂に入れないと』って。でも、それくらい毎日が充実しています」

 最後にシャトルを打ったのは産休前の昨年11月。「今、もしバドミントンをやれと言われても、ラケットにシャトルが当たらないかも(笑)。金メダリストがそんなに下手くそなのはまずいので、今はまったくバドミントンしたくないです(笑)」と冗談めかして笑う。

「かわいくて仕方がない」長女も、8月で生後半年となった。夫は海外遠征や合宿でワンオペ育児が基本だが、子育てに奮闘しながらも、今は競技に集中してもらうため、楽しみながら育児に臨んでいる。

「現役時代、私は何があってもお風呂に浸かることと睡眠にはこだわっていたんです。その習慣が全然抜けなくて、結婚後は、夫を練習に見送った後に仮眠をとることもありました。でも、子供が生まれてからはそういうわけにもいかない。出産して最初の1カ月半は睡眠不足できつかったですね。ただ、生後2カ月頃から、夜9時とか10時に寝ると朝5時まで1度も起きずに寝てくれるんですよ。

 金子は海外遠征や合宿などで自宅にいないことが多いので、いるときはできるだけ娘と触れ合って欲しいと思う反面、私もアスリートだったのでコンディション管理が大事なのも分かりますし、ゆっくり寝かせてあげたいと思うんですけど……。そのあたりは私も日によって全然気持ちが違いますね(笑)」

世界選手権は娘とパパを応援

 世界選手権は娘や家族とともに、金子・松友組、そして妹の高橋沙也加の応援で会場に足を運び、見守った。

「実は結婚する前に、金子が『俺の夢は子どもに自分がバドミントンしている姿を見せること』と言っていたんです。もちろん、娘はまだ分からないと思いますが、パパのカッコいい姿を見て、何か感じてもらえたらなって。あの時、彼が話していたことをようやく叶えてあげられたなと思うと……ちょっと感慨深いですね」

 幸せそうな笑顔で語る高橋は、もうすっかり母親の表情になっていた。

 講習会や講演会、結婚、妊娠・出産など慌ただしい日々を送ったこの2年は、自身の人生を見つめ直すいい機会にもなった。

「環境も大きく変化して、いろんなお仕事もさせてもらって、ようやく自分のやりたいことが少しずつ見えてきたのかな。実は、現役の頃から興味を持っていた職業があるんです。今はまだ話せないんですが、それは人を笑顔にする仕事で、バドミントン以外のことをするならこれだろうなというぐらいの……。好きなことで人を幸せにすることができるなら、それは本当に素敵なことですよね」

 後進の育成に取り組み、バドミントン界のさらなる発展に尽力する一方で、人生の別軸も視野に入れる高橋。第二の人生も、自分らしく自然体で歩んでいく。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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