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甲子園の風BACK NUMBER
仙台育英に“70点以上の差”で負けても…「恥ずかしいと思ったら、生徒に失礼」宮城の35歳監督が語る“過疎地の高校野球”は今…
posted2022/08/29 11:01
text by
樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph by
Number Web
「2022年は参加3782校、3547チーム」
7月に日本高野連が発表した今夏の地方大会参加チームの数。校数とチーム数が異なるのは、部員の少ない高校が2校以上の“連合チーム”として出場したからである。
参加校は2003年の4163校をピークに減り続けている。高野連が連合チームでも公式戦に出られるように規制緩和をしたのが10年前の2012年。当時11だった連合チームの数は、2022年には112。10倍以上も増えた。
こんな状況にある昨今、高校野球全体が問われていると言っていい。今後、野球部はどうあるべきなのか? 指導する教諭は何をすべきなのか? こうした問題を本気で考え、行動に移している指導者は少なからずいる。加美農・佐伯友也監督(35歳)もその一人だ。(全2回の後編/前編へ)
7月に日本高野連が発表した今夏の地方大会参加チームの数。校数とチーム数が異なるのは、部員の少ない高校が2校以上の“連合チーム”として出場したからである。
参加校は2003年の4163校をピークに減り続けている。高野連が連合チームでも公式戦に出られるように規制緩和をしたのが10年前の2012年。当時11だった連合チームの数は、2022年には112。10倍以上も増えた。
こんな状況にある昨今、高校野球全体が問われていると言っていい。今後、野球部はどうあるべきなのか? 指導する教諭は何をすべきなのか? こうした問題を本気で考え、行動に移している指導者は少なからずいる。加美農・佐伯友也監督(35歳)もその一人だ。(全2回の後編/前編へ)
◆◆◆
「いやー、やっちゃいましたね。仙台育英、優勝ですか。白河の関、越えちゃいましたね~」
107年で初の東北勢優勝。その偉業を同じ宮城の高校が果たしたというのに、佐伯監督はどこか他人事のようだ。
「落ち着いてますか? だって、僕らは前に進むだけですので、ええ。(9月)3日から秋の県大会が始まるので今はそれどころじゃありません。抽選会では、ぜひキャプテンに仙台育英のクジを引いてもらって、(3年生引退後の)部員11人で倒したいと思います、ハイ」
準々決勝で大阪桐蔭を倒した下関国際の坂原秀尚監督が勝利インタビューで言った「笑われるかもしれないけれど、本当にここを目指して頑張ってきた」の言葉と重なった。
「たしかに下関国際の戦いには熱いものを感じましたね。今回の甲子園では、2つの気づきがありました。1つは本気で叩き上げれば下関国際のように決勝まで行けるんだという『希望』。もう1つは身近なチームである仙台育英が全国制覇したことでの『刺激』。育英を倒せば日本一が見えるってことですからね。フフフ。うちの“妖怪軍団”、やりますよー!」
そう言って電話が切れた。甲子園を羨ましいと思うのではなく「自分で行きたい」。この負けん気は、これまでの指導歴の中で随所に発揮されていた。
加美農で語り継がれる「佐々木朗希伝説」
加美農には、どの監督に話しても驚かれる「佐々木朗希伝説」というエピソードがある。佐伯監督が「有言実行の男」であることを証明する“鉄板ネタ ”と言っていい。