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「危険すぎる」「非常識」の批判も…那須川天心24歳がいま明かす、“体重5kg差”メイウェザー戦の本音「これ以上、怖い経験はない」 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byRyo Saito

posted2022/08/25 17:00

「危険すぎる」「非常識」の批判も…那須川天心24歳がいま明かす、“体重5kg差”メイウェザー戦の本音「これ以上、怖い経験はない」<Number Web> photograph by Ryo Saito

Number最新号『格闘技に何が起きているのか。』でロングインタビューに応えた那須川天心(24歳)

「あのときは自分が本当に地球になったと感じました。僕らは星を見るときは空を見上げますよね。でも、あのときの状況は逆だった。僕にレンズを向けたスマホのカメラのライトが星に見えたんですよ。あのときは宇宙から見られていると思いました」

あのメイウェザー戦の本音「これ以上、怖い経験はない」

 市井の人々と比べると、物事の受け取り方も明らかに違う。だからこそメジャーへの扉を開けた16年12月のRIZINデビューでも、主催者サイドの「やるならMMA(総合格闘技)で」という破天荒な要求を受け入れることができた。

「誰も想像できない提案をしてくるので、最初は僕もエッ!?と思いましたよ。MMAの闘い方を知らないわけですし。でも当時客観的に見るとMMAが主流のRIZINファンの間でキックはそれほど知られていなかった。あのときキックボクサーとして普通にキックルールの試合に出ていたら、地上波に映ることもなかったでしょう。地上波に出られるなら、そのチャンスを摑みたかった」

 白眉は12月29日にMMAファイターとしての初陣を飾ると、2日後も開催が決定していたRIZINへの出場をアピールし、それを実現させたことだろう。MMAに挑戦することすら突飛だったのに、なぜ中1日で2試合という連戦に挑戦したのか。那須川は「RIZINから格闘技を盛り上げたいという気持ちが伝わってきたので、僕もそれに応えたかった」と吐露した。

 あり得ないリクエストは工夫したうえで倍にして返す。それが那須川の流儀だった。

「そうしないと、いい提案だったということだけで終わってしまう。だったらこっちはこっちでそっちの要求以上のことをしてやるよという気持ちになりました。発想が常識外なのでRIZINのやり方が合わない人がいるのもわかるけど、僕は世間を驚かせたかったのでいいキャッチボールができたと思います」

 最も破天荒なリクエストは18年大晦日に実現したフロイド・メイウェザー・ジュニア戦。形式上はエキシビション(模範試合)ながら、実際にはリアルファイトによるボクシングマッチだった。

 体重差もあるうえにルールは純粋なボクシング。ボクシングの良識派からは「危険すぎる」「非常識」という厳しい声も飛んだ一戦だった。

 試合は那須川が3度目のダウンを奪われた時点で、セコンドからタオルが投入されストップ。本来ならTKO負けになるところだが、予め決められたルールにより勝敗裁定なしとなった。

「メイウェザーは『俺より強い奴はいない』と言っていたけど、その言葉は噓ではなかったですね。『これ以上、怖い経験はない』と思いました」

<続く>

那須川天心(なすかわ・てんしん)

1998年8月18日、千葉県生まれ。幼少期より空手、キックボクシングで活躍。14年7月のRISEでバンタム級ランカーを58秒KOで下しプロデビュー。15年5月には史上最年少でRISEバンタム級王座を獲得。今年6月の武尊戦での勝利を最後に無敗のままボクシングへの転向を表明。165cm

#2に続く
那須川天心24歳に問う、“ボクサーとして本当に12ラウンド闘えるのか?”「僕は4ラウンド以上のスパーリングを経験したことがない」

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