那須川天心24歳に問う、“ボクサーとして本当に12ラウンド闘えるのか？”「僕は4ラウンド以上のスパーリングを経験したことがない」

　RIZINで闘うことで世間と勝負して、ホームリングのRISEでキックボクシングの魅力をさらに知ってもらう。那須川は大谷翔平とは別の意味で二刀流を貫いた。

　その間、RISEやISKAなど計4本のチャンピオンベルトを腰に巻いた。トーナメント優勝で手にしたベルトを含めると、その本数はさらに増す。それでも那須川は戦歴ともいえる自分が獲得した数々のベルトと一緒に写真に収まろうとはしない。

　その理由がふるっている。

「だっていくらチャンピオンになっても、ほかの団体に目を向ければ同じ階級のチャンピオンがいる。本当の一番ではないのに、ベルトを飾って俺がチャンピオンというのは納得がいかないですから」

Number最新号『格闘技に何が起きているのか。』でロングインタビューに応えた那須川天心（24歳）　©Ryo Saito

「なんで俺以外の格闘家がテレビに出ているんだよ」

　キック界が抱える矛盾を打破すべく、那須川はオンリーワンを目指した。オフには地上波のバラエティ番組にも多数出演し大いに顔を売ったのもそのためだ。いまとなっては地上波で最も出演頻度が高い格闘家になったと断言できる。

　那須川は「ホント、そのへんの道を歩けなくなっている」と打ち明けた。初めて見知らぬ人に「テレビで見たよ」と声をかけられたのは、前述したMMA2連戦の直後に家族とともに地元の神社に初詣に出かけたときだった。

　時代を創るスターへの階段を一歩登った瞬間だったが、その時点ではひとりだけ那須川より世間の認知度が高いキックボクサーがいた。当時K-1で圧倒的な存在感を醸し出していた武尊である。那須川は「最初は立場が逆だった」と素直に認めた。

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