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[ABEMAプロデューサーが明かす]THE MATCH 50万PPVのウラ側

posted2022/08/25 07:00

 
[ABEMAプロデューサーが明かす]THE MATCH 50万PPVのウラ側<Number Web> photograph by Yuki Takahashi(Illustration)

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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Yuki Takahashi(Illustration)

大会前、拳を交える両者は地上波を熱望し、そして落胆した。しかし蓋を開けてみれば、この一戦は格闘技中継における固定観念さえも覆した。「買って見る」時代の新常識とは?

「この5~6年でSNSの在り方が大きく変わってきたと思います。それが爆発的な盛り上がりを生んだ、ひとつの要因になっていますね」

 那須川天心と武尊の“世紀の一戦”をメインに6月19日に開催された『THE MATCH 2022』。中継を担当した『ABEMA』のエグゼクティブ・プロデューサー、北野雄司氏は確信をこめてそう語った。東京ドームに集まった観客は満員札止めの5万6399人。特筆すべきはペイ・パー・ビュー(PPV)で放送された5000円前後の視聴チケットが50万枚以上も売れたことだ。果たしてこの圧倒的な券売数は予想されたものだったのだろうか。

「僕の心のなかにあった目標は完全に超えていきました。約7年前、初めてふたりが接触したときから追ってきましたが、対戦までのプロセスを作り上げてくれたのは彼ら自身ですよ」

 ツイッターやインスタグラムから次々と発信される両者の言葉がストーリーを芳醇なものにし、熱量を生んでいったという。

「あの試合後、天心選手は記者会見の前にSNSで自分の思いを明かしています。他にも試合に至る期間や計量、試合直前まで自ら情報を発信しました。多くの人が常に更新される彼らの情報に注目していたと思います。古い例えかもしれませんが、ドラクエやiPhoneの新作を求めて多くの人が店先に並ぶのと似ていると思ったんです。つまりあの試合は“戦う瞬間までアップデートされ続ける最新型の商品”に対する熱狂があったんじゃないか、と。ABEMA PPVを購入したお客様の年齢層は公表できませんが、会場に訪れた観衆を見ると若い世代が多く、刈り上げ率が高かった(笑)。SNSを多用する世代が共感し、あの試合を楽しんでいたことは間違いないですね」

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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