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10人離脱で完敗は「仕方ない」ムードも…県岐阜商・鍛治舎監督が“選手に厳しかった”理由「逃げちゃ駄目」「バッターとしては失格」
posted2022/08/11 06:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
KYODO
このような状況に置かれてもなお、県岐阜商・鍛治舎巧(かじしゃ・たくみ)監督はいつもの姿勢を崩さなかった。
「(相手先発の)堀田(柊)くんはとてもいいピッチャーですから、そんなに点は取れないと思っていましたけども、打つ方はともかく、やっぱり10個の四球と4つのエラーです。そういう課題を持って帰ることになったなと。それが今日の試合の一番の感想です」
選手10人を入れ替えて1回戦に臨んだ県岐阜商だったが、初出場・社(兵庫)の前に1−10で力なく敗れた。
先発した2年生の山口恵悟をはじめ、投手陣が社打線につかまり3イニングで8失点。序盤で試合の大勢が決まり、反撃する力もなかった。
考えた「辞退」。それでも…
大会直前になってチーム内で新型コロナウイルスの集団感染が発生。日本高野連のガイドラインによれば、個人の感染の場合は当該選手を入れ替えるなどすれば出場に差し支えないが、集団感染の場合はいくつかの条件がある。
県岐阜商の場合は集団感染だったため、乗り越えなければならないハードルがいくつもあった。さすがの鍛治舎監督も「辞退をしようかと、責任教師とコーチに2度相談したほど」と苦しい胸の内を語っている。
無理もない。仮に条件をクリアして大会に出場するとなっても、大幅な選手の入れ替えが必要だった。エースの井上悠をはじめ、県大会決勝でサヨナラ本塁打を打った捕手の村瀬海斗、遊撃手の内藤大輔、中堅手の後藤耀介とセンターラインを軒並みベンチから外さなければいけなかったのだ。