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渋野日向子に笑顔が戻った! 現地レポーターが「あの状態から、よく立て直した」と感心した4日間〈優勝ブハイと3年ぶりに祝福ハグ〉
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2022/08/10 11:03
試合後、報道陣に向けて笑顔で手を振る渋野日向子。3年前の再現を逃すも、最終日まで優勝争いに加わって大会を盛り上げた
ここ最近の不調を踏まえて「自分が自分じゃないみたい」と自身の結果に驚いていたが、今回の舞台となったミュアフィールド・リンクスは勢いだけで攻略できるほど甘くない。片平が説明する。
「ミュアフィールド・リンクスは、男子のメジャー大会が何度も開催される名門リンクスコース。特に後半が難しく、13番は追い風なのに、14番は向かい風に変わります。しかも、ティーショットの落下地点あたりにポットバンカーが点在し、強烈な海風が吹く。13番ではいかに風を計算するか、14番は風に耐えられるか、が攻略の焦点となります。もちろん他のホールも難しく、最後の最後まですごく神経を使うコースです」
そんな難しい13番は4日間全てパーで乗り切り、14番では3日目にバーディーを奪った。同日でバーディーを奪ったのは渋野の他にたった1人だけ。
「これまでの積み重ねでしょうね。渋野選手の3日目のゴルフは、(4月の)ロッテ選手権最終日で優勝争いしたゴルフを彷彿させました。番手が3つ変わるほどの強風が吹いてる中、ショットの縦距離が一日中しっかりとあってた感じ。今会前、渋野選手が『風とお友だちになりたい』と言ってましたが、まさに風に負けないプレーをしていたと思います。スイングやパットの際に風で身体がぐらつかないのは、19年の秋から取り組んでいるトレーニングの成果もあると思います」(片平)
考えすぎずにプレーできたことで、試合中に表情には自然と笑みが溢れるようになっていた。
渋野の優勝に“バンザイ”したブハイ
渋野が一躍、“時の人”となったのは3年前の同大会だ。観客の声援に応えてブンブン手を振り、カメラ目線でお菓子を食べ、終始楽しそうにプレーする姿が話題を集めた。そんな3年前の自分を、2022年の渋野は「子供だったな。まだいろんなことが分かってなかった」と振り返るが、天真爛漫なその笑顔に世界中のゴルフファンが魅了されたのも事実である。
今大会を制したアシュリー・ブハイ(南アフリカ)は、そんな渋野の全英女子制覇を一番間近で目撃している。最終18番で渋野がウイニングパットを決めると、なぜか一緒にバンザイ……目の前で優勝をさらわれたにもかかわらずである。ブハイは懐かしそうに3年前の記憶を振り返る。