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“フェリス卒お嬢様”桜井まいは激痛ハードコアマッチで何を学んだ?「自分が弱すぎて…」涙に暮れた日から“憧れ”ジュリアと肩を並べるまで
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2022/08/03 11:00
7月23日に名古屋国際会議場で開催されたスターダム『SHOWCASE』。ジュリア(左)とタッグを組み、鉄柱を担いで入場する桜井まい
かつてならば心が折れそうなところだが、今の桜井はそうではなかった。ピンチに陥ったジュリアを救うと、鉄柱vsパイプ椅子で殴り合ったり、パイプ椅子を脳天に容赦なく振り下ろしたりと、ハードコアルールを得意とするプロミネンスを相手に一歩も引かず奮闘。ダイビングエルボーを狙うべくラダーによじ登った桜井だったが、ブレーンバスターで投げられ、ラダーとパイプ椅子を乗せられたところに2人が降ってきて潰され、さらにパイプ椅子へのジャーマンスープレックスホールドで投げられる……という壮絶な痛みと敗北を味わうことになった。
ただし、その散り方は、未知の領域から決して逃げなかった証でもあった。試合後には「悔しいです。でも、こうやってジュリアとハードコアに挑戦することができたのは凄く嬉しかったし、大きな経験値になったと思います」と、しっかりと自らの言葉を残した。力や技術だけでなく、精神的な強さも増していた。ダメージを伴うものではあったが、『5★STAR GP』を前に新たな刺激を受けたことは、間違いなくプラスに作用するはずだ。
「ただの経験では終わらせない」桜井まい31歳の決意
7月30日に行われた『5★STAR GP』初戦は、欠場を余儀なくされたテクラの代わりに出場機会を得た向後桃から勝利。幸先の良いスタートを切ることができた。このシリーズを前に「私は、ただの経験では終わらせません」と決意を語っていた桜井は、戦いを通して自分が選んだ道が正しいものであったことを見せつけていくだろう。
8月28日には、“古巣”コズエンのリーダーである中野たむとの激突も控えている。
7月31日に行われた試合では、元DDMのMIRAIがジュリアから勝利してみせた。桜井が強さを求めてコズエンからDDMに移ったことと、MIRAIがDDMから朱里の新ユニットGod‘s Eyeへ去ったことはよく似ている。
予選を突破できなかった選手たちの悔しさも、テクラの悔しさも背負って戦うと語った桜井。負けるわけにはいかない理由がどんどん増えていくが、それに押し潰されない強さが備わったという自信もついた。
ウナギ・サヤカに「あんなマイク1つで緊張してるようじゃ、スターダムでは絶対にてっぺんは取れない」と言われた初参戦からわずか1年。31歳の桜井まいは憧れる側ではなく、憧れられる側になりつつある。
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