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「いっちゃうぞバカヤロー!」小島聡51歳が明かす波乱万丈のプロレス人生「武藤さんから3日後に返事くれと言われて…悩みに悩みましたよ」
posted2022/07/16 11:04
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shigeki Yamamoto
元気ハツラツの51歳レスラーがいる。
ぶっとい腕、ピクピク波打つ胸筋、いっちゃうぞバカヤロー。エネルギッシュなファイトぶりは相も変わらずだ。
新日本プロレス“第3世代”の1人、小島聡は「ノア史上最大のX」としてプロレスリング・ノアに乗り込んだ6月、潮崎豪を破ってGHCヘビー級王座奪取に成功して、再び注目を集めている。過去に新日本のIWGP王座、全日本の3冠王座を獲得しており、これによってメジャー3団体最高位シングルのベルトをすべて巻いたことになる。プロレス界の“グランドスラム”達成者は佐々木健介、高山善廣、武藤敬司に続く4人目の快挙である。7月16日の日本武道館大会では、拳王を相手に初防衛戦を迎える。
サラリーマンからプロレスラーへの決断
参戦したノアの戦にすぐに馴染めているのも、レスリング経験もなくプロレスの世界に飛び込んできたチャレンジ精神と新日本、全日本の両方で戦ってきた彼の豊富なキャリアがあってこそなのかもしれない。
元々はサラリーマンだった。
高校を卒業して住宅設備機器メーカーに就職し、スーツを着て満員電車に揺られながら赤坂にある会社に通勤する毎日を送っていた。
「最初の半年間くらいは会社でデスクワークをやってガス器具を取り扱う勉強をしてから、器具を直接扱う業務になって埼玉のほうで現場仕事をやるようになったんです」
仕事は大変だったが、充実はしていた。働いて毎月報酬を得ることで、独り立ちできた実感もあった。ただ1年ほど経ったのち、当時付き合っていた彼女にフラれてしまったことが人生を変えることになる。
「自分を変えたいなって思ったんですよ。だったら体を鍛えよう、と。元々プロレスが好きだったので、自宅からそう遠くないアニマル浜口さんのジムに通えばいいんじゃないかって考えて、仕事が終わって家に戻ってから原付バイクでジムに行く生活が始まって。プロレスで活躍していたアニマルさんのことは知っていましたし、何よりエネルギーをいただいてプロレスラーになりたいっていう気持ちに自然となっていったんです」