カズの存在も励みに

　昔は追い込んでばかりいた。新日本の若手時代、道場では真っ先にトレーニングするレスラーとして知られていた。自分の限界値を知っているからこそ、今になって見極めができるようになった。55歳のフットボーラー、三浦知良の存在も励みになっている。テレビのニュースや記事に目を止めては、刺激をもらっている。50代アスリートの先輩として、尊敬の眼差しで見つめている。

　トレーニングをやらない日はない。いくらオフであっても、何かしら軽く体を動かすことにしている。無理は禁物とはいえ、ベタ休みでは逆効果になってしまうことも経験している。

　実はこれも武藤から学んだことだ。

「あの人こそ毎日体を動かしていたんです。だから50代後半になっても第一線で活躍できているんだなって思いますよ。毎日のトレーニングを欠かさないっていうのが武藤さん。じかにああしろ、こうしろって言われたことは一切ない。背中を見て影響を受けてきて、ここまでやってきました」

　2人の関係性は切っても切り離せない。

　引退ロードを日本武道館大会からスタートさせる武藤は“次世代のエース”清宮海斗と対戦する。そのメインの舞台に小島がチャンピオンとして立つというのもそれこそ運命めいたものに思えてくる。

　変える自己変革の力と、変えない継続の力。

　小島聡のエネルギーは尽きないどころか、ノアという新たな刺激を得たことで溢れ出そうとしている。

＜#2へつづく＞

#2に続く

「一撃必殺で仕留めろ」小島聡51歳が語るハンセン直伝のラリアット「一生の宝になりましたね」