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松山英樹がメジャーで日本人選手を下回った大会は? 「日本人で1番」というプライドと後輩たちへの期待《全英オープン7年ぶりの“聖地”》
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byGetty Images
posted2022/07/14 11:03
14日から始まる全英オープンに臨む松山英樹。今大会は7年ぶりに聖地セントアンドリュース・オールドコースでの開催となる
「彼はもう、外国人みたいなものですよ」
孤高の戦いを続ける松山に向けて、そんなつぶやきを聞くことが何度かあった。言葉を発した人にとっては、最大級の尊敬の思いを込めたものだが、それではマスターズを制した日本人の思いは汲み取れない。
「他のアジア人が勝っていなかった、誰もがそこに行きたいと思っているマスターズで勝てたことで、とくに日本人にとっては、『グリーンジャケットを着られるんだ』というところとの距離感は縮まったんじゃないかと思う」
そう話す時の松山は誇らしげだ。
「アジアアマで金谷(拓実)が勝って、(中島)啓太も勝った。そういう選手が出てきたのは日本のゴルフ界の変わってきた部分。(自分が)メジャーを勝ったことで、それがさらに変わっていくんじゃないか……という期待感はありますよね」
自分は何を残せるだろうか。どんな一流アスリートでも、自分が得た財産や名誉とは違う、自らの足跡の意味をふと確認したくなるときがある。
実は相性があまり良くない全英オープン
開幕直前。大会は7月14日から始まる。
そもそも松山は全英オープンとの相性が決して良いとは言えない。
プロ1年目の2013年、ミュアフィールドでの初挑戦で6位に入った。同大会は翌シーズンからのPGAツアー本格参戦に大きく前進した一歩になったが、その後の最高成績は2017年の14位。前回セントアンドリュースでの2015年の18位がそれに次ぐ。
2018年からは2年続けて予選落ち。コロナ禍で中止された2020年を挟み、2021年は新型コロナウイルス感染により欠場した。全英の週末をしばらく現地で迎えていない。
聖地を一緒に踏む日本人選手たちは、全員が年下だ。いつか自分が、トップの座から下りなければならない日が来るであろうことも彼は知っている。
ただ潮目が変わるのが、松山の“衰え”がはっきりわかるようになってからでは少し寂しい。
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