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「ショウヘイによって二刀流の扉は開かれた」大谷翔平が昨季オールスター中に漏らしていた本音「日本時代はね…もう、否定的な意見ばかりだった」
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byGetty Images
posted2022/07/13 17:00
昨季のオールスターでは先発登板を果たした大谷。アメリカの”二刀流”選手からの絶賛の声に本人は…
だが、今回のオールスターを機に、全国区のスーパースターとしての立ち位置は固まった。今や、「二刀流」に対する懐疑的な論調は、まったく聞こえてこない。それどころか、世界最高レベルで戦う大谷の姿に、ファンだけでなく、同じ舞台で戦う選手からも、その功績をたたえる声が後を絶たない。昨季のナ・リーグMVPで球宴出場5回目のフレディ・フリーマン(ブレーブス)は、高校時代、時速155kmの速球を投げる才能を持ちながら、'07年のドラフトでは打者として2巡目で指名され、スラッガーへの道を歩んだ。
「誰もが翔平がやっていることをできるとは思わない。だが、少なくとも二刀流への扉は開かれた」
フリーマン自身、「二刀流」に未練があるわけではない。プロ入り後も投げ続けていたら「腕が吹っ飛んでるよ」と笑う一方、「この扉が開かれたことで、より多くの選手がこういう機会を与えられるようになるだろう」と、今後、メジャーを目指す若者のモデルケースになると称賛した。
同じく”二刀流”の同僚・ウォルシュの大谷評は…
大谷の同僚でもあるエンゼルスのジャレッド・ウォルシュは、プロ入り後「二刀流」に挑戦し、メジャーデビューした'19年には5試合に救援登板、防御率1.80の成績を残した。'20年以降、利き腕の左腕が万全でないこともあり、野手に専念。その結果、今季は大ブレークし、大谷と共に球宴のロースターに名前を連ねた。'15年のドラフト39巡目で指名され、マイナーでプロ生活をスタートさせるなど紆余曲折を経た苦労人だけに、「二刀流」の難しさは、誰よりも実感してきた。
「誰もが、彼がどれほど特別なのか、気がついていないよ」
オールスターの試合前に会見したロブ・マンフレッド・コミッショナーは、昨年来のコロナ禍で停滞していた球界再興の貢献者として、真っ先に大谷の名前を挙げた。
「信じられないパフォーマンス。数年前から素晴らしいのは分かっていたが、彼はそれを証明した。球界にとって素晴らしいことであり、国際的にも貢献している」