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「とにかく練習するスタイルから変えました」代打で見逃し三振3連発…蝦名達夫24歳が一軍定着&“エビ反りキャッチ”を見せるまで
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2022/07/04 17:00
蝦名は3年目の今季、6月終了時点で既にシーズン自己最多の35試合に出場している
「とにかく『ひとつに集中し過ぎない』ということですね。遠藤さんから『練習中は自分の間でゆっくりと行くタイプなのに、試合で打席に入るときは打ちたいという気持ちが強すぎて、ルーティンがせかせかとしてしまっている。ピッチャーの間ではなく、自分の間で打席に入りなさい』と言われ、そこは納得のいく部分でした」
蝦名という選手を見ていると、技術やフィジカルばかりではなく“心の成長”がプロ野球選手として大切だということがよくわかる。
振り返れば入団したとき目標とする選手を訊くと、同チームの宮﨑敏郎と佐野恵太の名を挙げていた。蝦名同様、両者はドラフト下位指名の選手だが、ともに首位打者を獲得している。今季は一軍で一緒に戦っているわけだが、目指すべき偉大な先輩の背中に近づけた実感はあるのだろうか。
「いや、まだまだ遠いですね(苦笑)。やっぱりチャンスで打って試合を決めるような選手が宮﨑さんや佐野さんだと思いますし、まだ僕はそのレベルには達していない。けど少しずつでもいいから近づいていきたいですね」
僕はまだアピールしなければいけない選手
DeNAの外野陣は競争が激しい。佐野はもちろん、調子を取り戻しつつある桑原将志に、一軍復帰間近のタイラー・オースティン、さらに大田泰示に楠本泰史、神里和毅、関根大気、細川成也など個性豊かな面々が鎬を削る。
「他の選手がどうのじゃなく自分に集中するだけです。とにかく積極的なスタイルを忘れてはいけない。僕はまだアピールしなければいけない選手。走攻守において積極性を失ったら成績は落ちてくると思うので、そこをいかに今後継続していくかが勝負だと思います」
自分のことで精一杯なはずだが、チームの勝利に貢献したいという気持ちも蝦名は人一倍強い。
「今は僕だったり牧(秀悟)や森(敬斗)が一軍にいますが、苦しい状況がつづいているので、なんとか若い選手たちでチームに勢いをつけられたらと思っています」
若い選手たちの台頭や勢いは、チームの上昇には欠かせないものだ。ペナントレースも半分が過ぎ、チームはこれから重要な局面を迎える。我慢強い津軽男の積極性がどれだけチームに影響を与えることができるのか、夏の暑い日差しのなか刮目していきたい。