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《独占インタビュー》那須川天心が感じていた“武尊に勝ってもらいたい”という空気「こういう気持ちになったのは、堀口さんとの試合以来」 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byTHE MATCH 2022/Susumu Nagao

posted2022/06/23 17:02

《独占インタビュー》那須川天心が感じていた“武尊に勝ってもらいたい”という空気「こういう気持ちになったのは、堀口さんとの試合以来」<Number Web> photograph by THE MATCH 2022/Susumu Nagao

『THE MATCH 2022』で武尊と激闘を繰り広げた那須川天心が、NumberWebの独占インタビューに応じた

発表会見で「これ以上ないほど上機嫌」だったワケ

 対戦相手によって、那須川のモチベーションは上がることもあれば、下がることもある。プロである以上、マッチメークが決まればそれなりの抱負を述べるが、自分の気持ちに嘘はつけない。ここ数年、納得のいかない対戦相手との試合が決まると、那須川は会見場でも口数が少なくなり、見るからに不機嫌になることもあった。そのリアクションはいつでも“素”なのだ。

 那須川は「キックも(真剣勝負としての)エンターテイメント性を持たないといけない」と主張する。

「選手は誰が見ても、『コイツが一番』と思ってもらえるような対戦相手と闘わなければいけないし、そういう試合をしなければいけない」

 果たして、vs武尊の発表会見時の那須川は、これ以上ないといっていいほど上機嫌だった。まるでクリスマスイブにサンタクロースから最高のプレゼントを贈ってもらった子供のように。20歳を過ぎてもそんな無邪気さを持ち合わせているところにも、那須川の魅力は隠されている。

キック界におけるチャンピオンベルトの価値

 現役生活を送る中で那須川が痛感したこと──それはチャンピオンベルトを巻くことだけが、必ずしも世間の評価につながるわけではないということだった。

「キックボクシングの世界には、チャンピオンベルトがたくさんあるじゃないですか」

 中には認可団体の所在が怪しいものや、ランキングすら発表されていない王座もある。キックボクサーは自分が獲ったチャンピオンベルト全てを腰に巻いたり、肩にかけたりして自分の宣材写真として使用するケースが多い。ベルトが強さの証である以上、それはそれで評価されるべきことながら、那須川はそういった写真を撮ることに一切興味を示さない。

 その価値観は昔から1ミリたりとも変わらない。実際、那須川はこれまでに複数の王座を奪取しているが、その全てのチャンピオンベルトと一緒に収まるような写真は撮っていない。

 ベルトの価値は、巻いた選手が観戦者の心に焼きつくような防衛を重ねることで高めていかなければならない。そのことをよくわかっているからだ。そうしなければ、ややもすると勝利者賞のトロフィーと変わらないものになってしまう。

 那須川にとっては獲得したタイトルではなく、「オンリーワンであること」こそ全てだった。<後編へ続く>

#2に続く那須川天心23歳、武尊戦後の独白「ボクシング? まだちょっと余韻に」「やりたいこと…サバゲーかな(笑)」酷評されたメイウェザー戦も糧に

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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