- #1
- #2
格闘技PRESSBACK NUMBER
《独占インタビュー》那須川天心が感じていた“武尊に勝ってもらいたい”という空気「こういう気持ちになったのは、堀口さんとの試合以来」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byTHE MATCH 2022/Susumu Nagao
posted2022/06/23 17:02
『THE MATCH 2022』で武尊と激闘を繰り広げた那須川天心が、NumberWebの独占インタビューに応じた
那須川がプロデビューした2014年、旧K-1やPRIDEはすでに活動を停止していた。ふたたび格闘技が地上波のゴールデンタイムで放送されるようになるのは、翌年12月29日と31日に旗上げしたRIZINを待たなければならない。小学校低学年の頃にテレビで何度も観た東京ドームでの格闘技イベントはなくなっていた。
「いつか俺も絶対、東京ドームでやってやる」
プロデビュー後、同ドームで開催された三代目 J SOUL BROTHERSのライブに足を運んだ那須川は、いちファンとして楽しむ一方で奥歯を噛みしめた。
「ほかのエンタメの方々が東京ドームでライブをしていると、めっちゃ悔しかった。チケットも取れないくらい人気だし、(ステージから)手を上げればキャーキャー騒がれる。『こんにちは!』と挨拶しただけで、お客さんはワーッと盛り上がる」
東京ドームに反響する大歓声を聞きながら、「こんな不公平なことってあるのか!」と憤りを感じた。
「いつか俺も絶対、東京ドームでやってやる」
有言実行、その思いは最後の最後に結実する。当初は4月2日のRISEでの一戦を最後にキックボクシングから卒業する予定だったが、昨年12月、くすぶっていた武尊との夢の一騎討ちの話がいきなり動き出し、クリスマスイブに正式発表するに至った。
デビュー以来、無敗の快進撃を続け、結局一度も黒星を喫することがないままキックボクサーとしての現役生活を終えた那須川天心の実力が、日本キック史上最高傑作であることは疑いのないところだ。その一方で、とてつもない強運を持っていたことも否定できない。
「試合内容は全て完璧というわけではないけど、ストーリーとしてはほぼ完璧でしたね。本当に運もあったし、味方につけられたと思います」