トレーナーの確信「今回の大会で“化ける”」

　かつての松谷は、おそらく才能だけで闘っていた。それでも無敗、後にチャンピオンになる選手と引き分けている。そこにしっかりとした理論と技術が付け加えられた。年齢的にも状況的にも、まだまだ成長過程。本人も「伸びしろはたくさんあると思います」。

　今回のトーナメントも「練習してきたことが全部出せたら優勝できると思ってます。そのくらい強気でいこうと（笑）」。トレーナーである卜部も同じ気持ちだ。

「ポイントになるのは集中力だと思います。トーナメントなので2回勝たなきゃいけませんから。先のことを考えすぎてもいけないし、1回戦だけしか見ないのもよくない。逆に言うと、持っている力でいえば優勝できるだけのものがあります。このジムに来て意識が変わりましたね。プロの意識になった。

　教わったことを噛み砕いて自分のものにできるし、練習でも試合の組み立てでも自分で考えてます。練習はウチで一番してるんじゃないですかね。だからあんまり言うことがないです（笑）。僕は彼女が持ってるものをブラッシュアップしてるくらい。

　今は“売れる”前の選手ですけど、今回の大会がきっかけで売れるようになるんじゃないですか。“化ける”じゃないですけど、彼女を知らない人たちが“こんな選手がいたのか”となるような」

『K-1 RING OF VENUS』の会見には着物姿で登場　©Norihiro Hashimoto

「武尊さんみたいに気迫で前に出て…」

　1回戦で当たる菅原美優はKrushのチャンピオン。実績としては松谷より上だが、2冠は阻止したいと言う。

「KrushとK-1、両方のベルトは巻かせたくないです。しかもK-1の新しい階級のベルトなので。初代王者ってカッコいいですもんね。私がなりたい」

　逆ブロックではシュートボクシングのチャンピオンだったMIOとムエタイのパヤーフォン・アユタヤファイトジムが対戦する。MIOと菅原はこれまで1勝1敗。トーナメント決勝での決着戦は本人たちだけでなく、多くのファンが期待しているだろう。

「でも、そこで自分が勝ったら面白いなって」

2021年10月のKrush初参戦で判定勝ち　©K-1

　チャンピオンになったら「もう誰も勝てないんじゃないか」と思われるくらいの選手になりたいという。目指すのは卜部功也と武尊を合わせたような選手だ。

「功也さんは凄いテクニックがありますよね。でもそれは一発で倒せる攻撃があるからなんです。倒せるからテクニック主体の“うまい”試合ができる。私にはまだ一発で倒す力がないので、武尊さんみたいに気迫で前に出て、相手を呑み込むような闘い方もしていきたい。うまい選手はたくさんいますけど、勢いでうまさが消されちゃうこともあるのが格闘技なので」

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