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核心にシュートを!BACK NUMBER
板倉滉が“内田篤人に続いてシャルケで愛された”理由「スライディングしなくていいところでも…」「自分から握手しに」〈インタビュー〉
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph bySatoshi Shigeno
posted2022/06/15 17:02
シャルケで進境著しい1年を送った板倉滉。6月シリーズの前にインタビューに応じてくれた
「まぁ、だから、スライディングをしなくていいところでも、していましたね(笑)スライディングがベストな選択のときもあるんですけど、そうではなく、普通にクリアするだけで良いときでも……時間帯や状況によってですけど、あえてスライディングをして、スタンドを盛り上げにいっていました」
――それ、笑い話になりそうですけど、そうではないですよね。ホームのファンが相手チームのやりづらい状況を作るのがサッカーの醍醐味だし、何より、選手がそういう風に考えてくれると、一生懸命に応援するファンやサポーターの努力は報われますよね。
「やはり、スタジアムがああいう風に乗ってくれると僕らの気持ちや戦い方も大きく変わってくるので」
「Do you like apple?」「やべーヤツ来たな」
――ところで、日本がW杯出場を決めた直後には、シャルケの選手たちが一堂に会して板倉選手のW杯出場を祝福する動画がSNSにアップされ、話題になりました。
「よく聞かれるのですが、特別に何かをしたわけではないです。ただ、今は英語でコミュニケーションをとれるようになったのが大きいかもしれないですね。(2019年に)フローニンゲンへ行った時には、英語は一切話せませんでしたし」
――最初は「Do you like apple?」と話しかけたとか?
「それが一発目に発したチームメイトへの言葉です。チームに初めて合流したのが食事会場だったんですよ。チームメイトと同じテーブルについて、『何か話さなきゃ』と思って。とっさに出た言葉が『Do you like apple?』だったんです」
――唐突に?
「パッと出てきたのがそれだったんですけど、別に誰かがリンゴを食べていたわけでも、目の前にリンゴがあったわけでもなくて。だから、『いきなり、なんだコイツは? やべーヤツが来たな』みたいな空気になっていました……」
――(笑)。笑って振り返れる日が来てよかったですね。チームに溶け込むのが上手だなと感じますが、秘訣はあるのですか?
「もちろん、チームメイトと積極的にコミュニケーションをとることも必要なんですけど、何が一番大事かというと、やはり、試合に出ることかなと」
――なるほど。
「試合に出ているからチームメイトに認められる。それでイジられたりして、どんどん距離が縮まっていく。逆に、試合に出られないと大変かもしれないですね。海外はハッキリしているから」
ベガルタの時から少しずつ積み上げて
――板倉選手もフローニンゲンに加入後の半年間は試合に出られない時期がありました。
「そうです。シャルケではずっと試合に出続けたことで、認められていったと感じますし。だから、結局は、溶け込むためには試合に出ることが一番じゃないですかね」
――日本代表では中軸になり、シャルケでも印象的なゴールをいくつも決めたことで、この1年で日本での評価はかなり上がりました。ただ、板倉選手の感覚は……。
「一気に飛躍したと思われがちですけど、そんなことはなくて。フローニンゲンの時から……いや、もっと言えばベガルタ仙台の時から自分の持っているものを少しずつ積み上げてきたので。むしろ、それをこの1年で知ってもらえたのかなという感じです。そうやって認められるのは嬉しいですけど、積み重ねがあったからだと思いますね」
後編では板倉のメンタルの持ちよう、日本代表への思いなどについても聞いた。
<後編の#2に続く>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。