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監督の激怒と公開説教…「サッカー人生、終わったかもしれんわ」 それでも鎌田大地はなぜ「市場価値31億円」の高評価なのか〈インタビュー〉 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2022/06/14 11:00

監督の激怒と公開説教…「サッカー人生、終わったかもしれんわ」 それでも鎌田大地はなぜ「市場価値31億円」の高評価なのか〈インタビュー〉<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

EL制覇を果たし、日本代表でも存在感を放つ鎌田大地がインタビューに応じてくれた

 個性の強烈な選手の要求に応えるだけの選手になるのではなく、彼らに「対等な選手」と認められる存在になる。それが前線の選手たちとのレギュラー争いをしながら、試合で活躍するには必要だと考えたからだ。そして、理由は他にもある。

「それに、フランクフルトはどんどん力をつけている良いクラブだとは思いますけど、ここではまだ終わりたくないんですよ、僕は。だから、小さくまとまりたくないし、負けていられないじゃないですか?」

 結局のところ、海外で日本人としての良さで勝負するのではなく、かの地の価値観や気質に合わせて戦っているのが鎌田なのだ。

31億円の市場価値を持つ男になっても“通過点”

 だからこそ、現地では高く評価されている。

 今では、サッカー選手の市場価値を表わす権威となっているドイツの「Transfermarkt」というサイトがある。そこで日本人選手の評価額を見てみると、1位はアーセナルに所属している23歳のDF冨安健洋で、約35億円(2500万ユーロ)である。

 では、2位にいるのは?

 25歳の鎌田である。

 約31億円(2200万ユーロ)だ。日本代表で定位置を争うライバルを抑えて、攻撃的なポジションの最高額の選手となっている。

「フランクフルトは、格としてはリバプールやアーセナルには劣りますけど、その次のランクのチームです。ここ5年でELでは3回出て、ベスト4、ベスト16、そして優勝です。ELに出ていない2シーズンも、DFBポカール優勝とブンデスリーガ5位ですから。

 今シーズンのELで優勝したからというだけではなく、この3シーズンずっと、ポジションをつかんで試合に出てきた。他の選手に負けていないという自負はあります」

 これが日本人アタッカー最高額という評価についての鎌田の見解だが、この順位も金額も通過点でしかない。

デブライネやベルナルド・シウバのように

「上のチームに行くと、最近だと、どこも4-3-3みたいなフォーメーションですよね。インサイドハーフには、デブライネやベルナルド・シウバのように、色々なことをできるオールマイティーなタイプが求められています。僕は彼らと同じポジションの選手だし、1つの能力が突出しているわけではないからこそ、あらゆる能力をもっと上げていかないといけないんで。まだまだ上を目指さないとダメっすよ」

 物怖じしない度胸と、攻撃的な選手に求められる負けん気の強さがある。それでいて自分の立ち位置を客観的に把握できる。

 何より、現状に少しも満足せずに上を見ているところに、鎌田の日本人アタッカー最高額の理由は隠されているのである。

 第2回、第3回ではEL制覇での“号泣の真相”や大舞台での強さについて掘り下げていく――。

 <#2、#3につづく>

#2に続く
長谷部誠いわく「お前はイメージで損してる」 鎌田大地が語る“号泣EL優勝の真相と大舞台での強さ”「うーん、なぜでしょうね。ただ…」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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