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「W杯優勝へ不安材料はネイマールの…」「Jの選手とは鍛えられ方が違う」ブラジル代表のエグさを三都主アレサンドロ44歳が解説
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/06/10 11:03
1-0で日本に勝利したブラジル。三都主アレサンドロの目にはどう映ったか
「ゴール前にいたファン・ウィジョ(ボルドー)に、右サイドからいいパスが入った。ゴールを背にした状態だったけどチアゴ・シウバ(チェルシー)と1対1になり、ターンしてシュートを決めた。シウバのクリアミスがあったんだけど、それを誘発したのは韓国の攻撃陣の力。日本も、ブラジル戦で同じような場面を作れたら得点のチャンスが生まれたはずなんだけど……。この点は、韓国を見習うべきだろうね」
――ブラジルは左SBアレックス・サンドロ(ユベントス)がサイドをドリブルで突破し、PKを2本取りました。
「サンドロの積極的な姿勢が、再度のPK獲得に結びついた。韓国の守備陣は、完全に翻弄されていた。
でも、彼があれだけ攻撃に参加できたのは、守備でエネルギーを使う必要がなかったし、彼が攻め上がった際のカバーリングができていたから。ブラジルの組織的な守備が機能し、またほぼ常に韓国を押し込んでいたから、あれだけアグレッシブに攻撃できた」
この辺りが今のブラジルの強さなんだよね
――現時点で、ブラジルのSBのレギュラーは右がダニーロ(ユベントス。故障のため今回のアジア遠征には不参加)、左がアレックス・サンドロですが、いずれも背後のスペースを突かれると弱い。
「そう。2022年W杯南米予選でも、しばしばピンチを招いていた。攻撃ではサンドロがいいけど、守備では日本戦で先発したギリェルメ・アラーナ(アトレチコ・ミネイロ)の方が上。もしチッチ監督が攻撃力を優先してダニーロとサンドロを先発させるのであれば、ボランチとCBを含めたチーム全体で両サイドをカバーするべきだろうね」
――試合前の練習で怪我をして出場が危ぶまれたネイマールが78分間プレーし、PKを決めて2得点。また、後半途中からピッチに立った選手が奮闘しました。MFコウチーニョ(アストン・ビラ)が敵DFのクリアミスを強烈に叩き込むと、ガブリエル・ジェズス(マンチェスター・シティ)が右サイドから侵入し、3人を抜き去ってファーサイドへ蹴り込んだ。彼にとって、セレソンで約3年ぶりの得点でした。
「このあたりが、今のセレソンの強さなんだよね。攻撃陣でレギュラー・ポジションを手にしているのはネイマールと左ウイングのビニシウス(レアル・マドリー)だけ。右ウイングとCFのレギュラーは未定なんだけど、他の国なら主力が務まるような選手が大勢いる。
この遠征に参加しなかった選手にも、偽CFとして多彩なプレーができるフィルミーノ(リバプール)、若手で独特のドリブル突破が魅力のアントニー(アヤックス)らがいるんだからね」
なぜ日本戦では韓国戦ほど点が取れなかったのか
――にもかかわらず、日本戦で韓国戦ほど点が取れなかったのはなぜでしょう?