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ブラジルから届いた“日本戦・現地メディアのガチな報道”「日本の選手採点、論評なし」「イタクラのネイマールへのファウルは何個目?」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/06/07 11:20
33年前の初対戦と同じ「0-1」のスコアに終わった日本vsブラジル。地球の反対側ではどう報じられている?
ベテラン解説者のミウトン・ネーベスは、「月曜の早朝(ブラジル時間)、退屈極まりない試合を見せられて苛立った人が多かったのではないか」と、こちらも痛烈な皮肉。
「日本は一生懸命プレーしてはいたが、技術と創造性には限界があった。そんなチームに対し、疑わしいPKで1点取っただけとは……」と嘆いた。そして、「今日の日本にこれほど苦しむようでは、欧州の強豪とは到底、対等に戦えない」とセレソンをこき下ろした。
テレビ中継では日本に対するコメントもあった
テレビ中継をしたグローボ局は、日本と日本選手に対してより多くのコメントを発した。
とはいえ、超ベテランの国民的アナウンサー、ガルボン・ブエノが「日本は極端に守備的。しばしば、ペナルティエリア内に9人、10人と入っている」となじるような口調で伝え、「ネイマールへまたもファウル。これが〇個目で、うち〇個がイタクラ(板倉滉=シャルケ)によるものです」といったフレーズを繰り返していた。
ハーフタイムでは、セレソンが攻め込んだ際に日本選手がペナルティエリアにGKを含めて10人が入っている場面を取り上げ、日本がいかに守備的にプレーしていたかを明示していた。
解説者の元ブラジル代表FWカイオ・リベイロは、「セレソンが日本の分厚い守備ブロックを打ち破るには、もっとサイドから攻めなければならない」として、「左のビニシウス(レアル・マドリー)、右のラフィーニャ(リーズ)がより効果的な動きをしてパスを引き出し、持ち前のスピードとテクニックを駆使して突破を図るべきだ」とコメントしていた。
「日本は韓国よりはるかに組織的」の評論も
しかし、後半も日本は分厚い守備を敷き、セレソンは前半と同じような攻撃を繰り返す。
後半32分、ペナルティエリアで遠藤がリシャルリソンを倒して主審がブラジルにPKを与えた場面では、元審判の解説者が「主審の判定は正しい」と言い切った。
試合後、解説者の元ブラジル代表MFジュニオールは、「攻守両面で、日本は韓国よりはるかに組織的にプレーしていた。個人能力もまずまず。この試合は、ワールドカップで対戦するドイツ、スペインとの試合への格好のシミュレーションとなったのではないか」とブラジル・メディアとしては例外的に、一定の評価を与えていた。