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「1日3食が当たり前」に“大食い魔女”菅原初代58歳が考える違和感…“来年還暦”でも現役を続ける理由「大食いは、お金が目的ではない」
text by
音部美穂Miho Otobe
photograph byWataru Sato
posted2022/06/03 11:02
現在は盛岡でパン店を営む菅原初代さん。幼い頃から感じていた食事に関する疑問や、現在の生活などについて聞いた
大食いは「自分が認められる場所」
皆にできることができなくて劣等感を抱いた子供時代。しかし、今は大食いという他の人にはできないことでスポットライトを浴びている。
「それでも、どこか自信がないところがいまだにある。何も記録を残していないのに『絶対勝ちます!』って宣言したりとか、根拠のない自信を持っている子を見ると、うらやましいなって感じてしまう。私も、テレビでは自信満々に見えるかもしれないんですが、本当は漠然とした不安がいつもあって、『ひょっとしたら1回戦負けかも』と思ってしまったり。
これは謙虚さとは違うんです。長年植え付けられた劣等感は、そんなに簡単には消えないんでしょうね」
一方で、やはり大食いがアイデンティティになっている部分もあるという。
「自分が認められる場所があるというのは、すごく大切なことですよね。
大食い大会の賞金とかテレビのギャランティはもらえるけれど、それだけで生活できるレベルじゃないし、お金が目的ではないんです。
それに、撮影で東京に行くのも楽しみの一つ。上京したついでに、地元ではやっていない美術展を見に行ったりとか。そういう意味では、一石二鳥どころか三鳥、四鳥ぐらいの効果がある。
いつまでたっても自信満々にはなれないけど、大食いで私の人生は一変したし、世界が広がって面白くなった。これは紛れもない事実なんです」
来年還暦でも「勝てる。だから続ける」
来年還暦を迎える菅原。年齢に関係なく、できるかぎりは大食いを続けるつもりだという。
「とりあえず今はまだ食べられるし、勝てる。だから続ける。まだ動く洗濯機や冷蔵庫を買い替えるのはもったいない、という主婦根性みたいなものですかね。
もし勝てなくなったら、ですか? それでも続けるかどうかは、その時になってみないと分からない。
でも、大食いが出来なくなった時、自分がどうするのかと想像すると、ある意味楽しみでもあるんですよ。そこからが、また新しい人生の始まりになるのかもしれませんね」
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