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「大食いはスポーツに近い?」「やっぱり男性有利?」“大食い女王”魔女菅原(58)に聞いてみた「女性選手への偏見をギャル曽根さんが変えた」
text by
音部美穂Miho Otobe
photograph by本人提供
posted2022/06/03 11:01
現在はYouTubeチャンネルで大食い企画なども行っている菅原さん。競技大食いについて、いろいろ聞いてみた
身体に大きな負担がかかるという点でも、大食いはスポーツと共通している。それでもなお、大食いを続けるのはなぜだろうか。
「食べることは好きだから、それ自体はストレスになりません。たとえば、ボクサーだって、ボクシングに興味がない人から見たら、『なんで好き好んで痛い目に遭うの?』と思うかもしれない。でも、ボクサーにとっては他の競技にはない面白さがあるわけです。私にとっては、大食いはそれと同じなんですよ」
「女性の大食い」への偏見が変わっていった理由
今でこそ、大食い大会で多くの女性フードファイターが火花を散らすのは当たり前だが、その裏には、菅原をはじめ、ブームを牽引してきた女性たちの存在がある。その草分けといえるのが、1990年代~2000年代前半にかけて活躍した赤阪尊子だ。
「私は、女なのに大食いなんて恥ずかしいと感じたことは一度もない。でも、世間的には『女性がたくさん食べるのははしたない』という風潮って、あったと思いますよ。『デートの時はわざと少なめに食べた方がいい』とか、『スリムであるべき女性が、そもそも大食いなんてありえない』みたいな考え方ですよね。
そんな偏見を、赤阪さんがまず打ち破った。そして、ギャル曽根さんが出てきたことで、女性の大食いに対する世間の目がガラッと変わったと思う。
それまでは女王戦って出場者を集めるのが大変だったらしいんですよ。やっぱり女性で大食いって恥ずかしいというイメージがあって、出たい人がなかなか見つからなかったんでしょうね。でも、曽根さんが活躍したことで『こういうサクセスストーリーもあるのか』と認知されて、出場希望者が一気に増えた。もえのあずきちゃんもその一人ですよね」
「一概に男性の方が強いって、私は思いたくない」
一般的に、男性のほうが女性よりも食事の量は多いとされている。しかし、大食いに関しては、性差は関係ないのではないかと菅原は分析する。
「男女差よりも個人差が大きいんじゃないでしょうか。私は、今もジャイアント白田さんに絶対勝てないだろうなと思っているんですが、それは白田さんが男性だからではなく、体が大きいから。体が大きい分、胃が広がるスペースがあるわけですよね。白田さんは、その天性の才能に加えて知性もあるから、正しい方向性の努力をして、結果を出してきたわけです。そういう人には勝てる気がしない。
ただ私が勝てないだけで、白田さんに勝てる女性もいるかもしれない。だから一概に男性の方が強いって私は思いたくないんですよ」
《第3回に続く》
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