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「大食いはスポーツに近い?」「やっぱり男性有利?」“大食い女王”魔女菅原(58)に聞いてみた「女性選手への偏見をギャル曽根さんが変えた」
text by
音部美穂Miho Otobe
photograph by本人提供
posted2022/06/03 11:01
現在はYouTubeチャンネルで大食い企画なども行っている菅原さん。競技大食いについて、いろいろ聞いてみた
でも、毎日となるとさすがに面倒になってきちゃって。それで、食べる前と食べた後に体重を測れば楽だって気づいた。
大食いの先輩たちに聞くと、この方法を昔から実践している人が多かった。増えた体重を目安にして、食べた分量を量るんです」
「太ってて大食いが強い人って見たことがない」
食べる量を徐々に増やして胃の容量を広げていく一方で、太らないことも重要だという。実際、かつて急激に太った際に、食べられる量が減ってしまったことがあるそうだ。
「太って脂肪が腰回りにつくと、脂肪が胃を圧迫して、食べたときに胃が大きく広がらない。それで、苦しくなって食べられないんです。脂肪がコルセットみたいな役割を果たしてしまうというわけです。だから、太ってて大食いが強い人って見たことがないですね。
私自身、最近中年太りしちゃってるから、食べられなくなって。中年太りって腰回りに脂肪がつくんですよ。それに、重力でどんどん脂肪が下がってくるのも、食べられなくなる理由の一つかもしれません」
菅原は還暦間近。現役で活躍するフードファイターとしてはかなり高齢の部類に入る。
「現役で大食いやっている人で私より年上の人はいませんよ。世界的に見てもそうでしょうね」と笑う。
「やはり大食いは若い方が有利だと思う。胃袋は筋肉だから。スポーツでもそうですが、筋肉をハードに使う競技は、やはり若いほうが有利ですよね。
一方で、大食いは経験も大切。大会で食べるものは、事前に教えてもらえないことが多い。だから、食べたことがないものが出てきた時、どのように対処するのか、その引き出しがどれだけあるかが勝敗を分ける。たとえば、この料理には、こういった調味料をかけたほうが食べやすいとか、そういった知識の蓄積が重要なんです」
「大食いはスポーツに近い」
根性論で語られがちな大食いだが、「気持ちだけで食べるのはムリ」だと菅原は断言する。
「だって考えてみてください。運動神経が悪い子が『気持ちだけは負けない!』といったところで、野球のリトルリーグで活躍したり、その後甲子園に行けるかといったら、厳しいですよね。やはり才能と努力が必要なわけで、やる気だけあっても難しいことはたくさんある。
大食いもそれと同じ。もともと持っている身体のつくり――つまり身体的な能力に加えて努力と経験が必要です。そう考えると、大食いはスポーツに近い。ある意味、アスリートといえるかもしれません」