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「藤井聡太叡王とペコちゃん」はカワイイけど… 渡辺明名人3連覇、森内九段らの“二刀流”もスゴい《観る将マンガ家が描く5月の将棋ハイライト》
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph byJunsei Chida
posted2022/06/01 11:05
観る将マンガ家・千田先生が描いた「5月の将棋ハイライト」。これまでのイラストは関連記事からもご覧になれます!
「これは……フランスですね」(三浦)
「抹茶ですけど」(糸谷)
「フランスですね。フランスを感じます」(三浦)
「どのあたりが?」(糸谷)
「これは白い食べ物……白いフランス」(三浦)
「下にある抹茶のお味はいかがですか?」(糸谷)
「抹茶と言えば日本ですけど……フランス革命です」(三浦)
文字にするとシュールさ極まりないですが、動画でも横にいた野原未蘭女流初段が「????」となっています(笑)。三浦九段の語彙センス、まるで得意の超早指しのようにコメントを求める糸谷八段の受け答え、ツボに入ってしまいました。ぜひこのコンビ、また見てみたいです。
だいぶ脱線してしまいましたが、対局は藤井叡王の3連勝で防衛に成功。青ペコちゃんをもらう姿は微笑ましくも、貫禄すら感じました。
第3局では終盤に出口六段がリードを奪う局面があり、若き棋士が食らいつこうとする意地を見ました。その出口六段が対局後「もう一度、鍛え直して上がっていきたい」と涙を流して決意を語る姿にも心を打たれました。
涙で共通するのは、現地大盤解説会で解説を務めた高見泰地七段です。第3期叡王となったものの1期で失冠した痛みを経験したからこそ、「また頑張ってほしい!」と目を潤ませて語る姿もまた……若い棋士が活躍する叡王戦ですから、このようなシーンが今後も多く生まれるのかもしれません。
藤井五冠には「タイトル戦の夏」が待ち構えています。6月3日に永瀬王座を迎え撃つ棋聖戦が開幕し、6月28日に第1局を迎える王位戦は、5月31日の対局で豊島将之九段に挑戦者が決定しました。2年連続の同カード、防衛かそれともリベンジか、果たしてどのような名局が生まれるのか楽しみです……。
3)「二刀流」や里見女流四冠、棋士みんなネタがありすぎ
最後に各棋士のトピックスにも触れてみましょう。
「ABEMAトーナメント」のチーム紹介動画では、前述した糸谷八段のチームが荒行として火渡り! 滝に打たれる! ……いくら何でもムチャしすぎでは、とこちらが心配になりますが(苦笑)、その甲斐もあって? B組首位通過を決めてます。広瀬章人八段チームの「バンジーVR」での青嶋未来六段もなかなかつらそうでしたが。
ほっこり系では、丸山忠久九段から「栄養が大事なので」と豊島将之九段がカロリーメイトをプレゼントされての“もぐもぐタイム”。区民(豊島九段ファンの愛称)である妻氏が大歓喜してました(笑)。
バンジーVRで大変な目に遭っていた青嶋六段ですが、なんと全日本チェス選手権で優勝! 棋士とチェスで言えば羽生善治先生が抜群に強いとは有名な話ですが、青嶋六段がその後継者となるのか。
さらに森内俊之九段も、趣味として有名な「バックギャモン」というゲームで日本選手権制覇!「二刀流」と言えばメジャーの大谷翔平選手、というイメージの中で、将棋棋士もそれを両立させてしまうポテンシャルをぜひ知ってほしいです。
女流棋士で奮闘を続けているのは、里見香奈女流四冠です。棋王戦予選決勝で古森悠太五段に勝利し、女性としては初となる「タイトル戦本戦トーナメント進出」を果たす快挙を成し遂げ、プロ編入試験への条件を満たしました。
現時点では試験受験を考えていないようですが、マイナビ女子オープンで西山朋佳女王と激闘を繰り広げるなど、ファンとしてはその戦いに引き込まれるばかり。
将棋界から明るいニュースがどんどん伝えられればいいな……と思いながら、6月の対局にも注目します!<構成/茂野聡士>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。