――お二人は小学生の頃にすでにクライミングを始めていますが、それ以外のシーン、たとえば遊ぶときにも高いところに登るのが好きだったんですか。

智亜　二人でよく木登りをしていましたね。木の上でお弁当を食べたり。

明智　智くんを骨折させたこともあったよね。先に僕が木を登っていって、その後を智くんが「俺も下から行く！」と続いて登ってきたんですが、僕がなかなか動けず、その間にパキっと細い枝が折れて下に落ちてしまって。

智亜　それで腕が折れちゃってね。そういうこともありました。

明智　よく自転車に乗ってどっちが速く回れるか競争をして、コーナーでお互いに攻めすぎて膝がずる剥けになるなんてこともあったし。

智亜　懐かしいね。自転車もそうだけど、野球をしたりサッカーしたり、テニスしたり、本当にいつも一緒に遊んでいたような気がします。

左・明智（年少・4才）、右・智亜（小1、7才） ©︎UDN SPORTS

――器械体操での経験はクライミングに生かされることはありましたか。

智亜　すごく大きかったと思いますよ。小さい頃から体操で大きな重心移動をやっていたので、空中でのコントロールなどの感覚は人よりもいいんじゃないかなと思います。あとは、当時のクラブの指導者がむちゃくちゃ厳しかったのでハートが鍛えられました。でも、クライミングは明智の方がうまかったんですよ。もともと明智の方がセンスがいいと言われていましたし、僕は身体能力で登るタイプだったので。確か、ユースの成績は明智の方が上だったと思います。

明智　センスいいのかな？　あんまり感じたことなかったけど。

智亜　でも、あまり練習しなくても登れたでしょ？

明智　そういうタイプではあったかもしれない。僕は初めて自発的にやってみたいと思ったのがクライミング。体操も書道も始めても、智くんが辞めたら辞めていましたからね。それは自分がいきたくてやっていたわけではなく、智くんと一緒にやりたかっただけなんですよ。でも、クライミングだけは、たとえ智くんがいなくてもジムには行っていた。初めてハマったものと言えるものなんじゃないかなと思います。今も続いていますし。

ライバルではなく“友達”

――明智選手が以前、智亜選手のことを「友達みたいな感じでライバルではない」と発言されていました。今、お互いはどのような存在でしょうか。

明智　今でも兄弟というより友達的な感覚の方が強いですね。遊び相手みたいな。暇なときに連絡したら一緒にゲームできたりするし。「今、メシ行こうよ」っていったら、来てくれるし。「登ろうよ」っていったら一緒に登るし。「友達ってだれ？」と聞かれたら、多分、智くんの名前が出ますよ（笑）。

智亜　競技でも競技以外でも一緒にいることが多く、ずっと見て来たので、成長している姿、成長しようとしているところを見守っている感がありますね。やっぱり競技になればもちろんライバルでもありますし。これからもっともっと噛みついてくると思ってます（笑）。

明智　嚙みつけないですね。敵対心みたいなものが持てないというか。そもそも対人スポーツがあまり得意じゃなくて。僕の場合は、あくまで（ボルダリングの）課題や、自分自身に集中する方が合っている。智くんに勝ちたいとか、そういう気持ちで競技をやると、どうしても調子が狂ってしまうんです。

楢崎明智　©︎Yuki Suenaga

智亜　競技性から見てもクライミングにはそういうタイプの選手が多いかもしれないですね。選手はみんな仲間で、対「人」というよりも、課題と自分がどう戦うか、みたいな。

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