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フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
北京五輪前、木原龍一は三浦璃来への施術を覚えて…担当指圧師が明かしたペア躍進の“知られざる舞台裏”「彼の人格のおかげです」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by本人提供
posted2022/05/24 11:03
木原龍一、三浦璃来と、2人の挑戦を支え続けるトロントの指圧師、青嶋正さん
北京五輪のために、木原は三浦への施術を覚えた
北京オリンピックでもっとも懸念していたことは、団体戦の後で個人戦まで時間が空いたことだった。特に三浦選手は、常に「自分が足を引っ張っている」という不安がストレスになっていた。そのため「失敗したら、そういう体調に持っていけなかった僕の責任」と青嶋氏は常々言い、彼女のプレッシャーを取り除く助けをしてきた。
だがオリンピック個人戦では、事前に青嶋氏の施術が受けられないという不安要素が出来てしまった。
「個人戦の前に3週間ぐらい空いてしまったので、これは木原君と事前に相談した。僕が行けないのなら、木原君がやるしかない。施術しながら彼に、『手を貸して。これ、これを緩めてあげて』と全部練習したんです」
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こうして体調から来る不安を取り除くという万端の準備をして、二人は旅立った。
「ペアはシングルの3倍、4倍も調整してあげなくちゃ」
木原選手はいつも自嘲ぎみに「ソチと平昌オリンピックは、観光で行った」と口にしていた。だが今回は「北京オリンピックは、勝負に行きます」と宣言して出発したという。
結果、団体戦では日本の銅メダルに大きな貢献を果たし、個人戦では7位に入賞した。
「これからの僕の課題は、彼らの成長に合わせて調整していくこと。彼らもうまくなると、滑る内容の難易度も上がる。そうするとまた、体調も変わっていきます。これから4年、(コンディションを)上げて行かなくちゃならない」
世界選手権では銀メダルを手にした三浦&木原ペアは、8年後のオリンピックまで目指していると宣言した。青嶋氏のサポートは、二人のかけがえのない力になっていることは間違いない。
「ペアは特にシングルの、3倍、4倍も調整していってあげなくちゃと思っています」。青嶋氏はそう言って、力強く頷いた。
ちなみに施術を受けた筆者の腰はまるで新品になったかのように軽くなり、本文を書いている最中も快調である。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。