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「狂ってるとしか言いようがねえ」初対決から3年…“デスマッチのカリスマ”葛西純とエル・デスペラードが交わした「血まみれの約束」
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2022/05/18 17:00
5月6日の『タカタイチマニア2.5』で3年ぶりに再会し、凄惨な流血戦を繰り広げたエル・デスペラードと葛西純。2人は試合後にシングルの約束を交わした
それぞれ、新日ジュニアの頂点に登り詰めても、世界最高のデスマッチファイターとして君臨し続けても、お預け状態になったままの刺激の穴が埋まることはなかった。
そして6日、会えなかった時間の分だけ想いを強めた2人は、前回のような無効試合になることがないハードコアルールでぶつかり合った。
凄惨な流血戦も、会場の悲鳴はいつしか…
先に入場してきた葛西はロープを持ち上げてデスペラードを招き入れたが、コールが終わるとゴングを待てずに襲い掛かった。2つの行動は矛盾しているようにも思えるが、どちらも愛情の強さの表れだった。刺激を与え合いながら更なる高みへと上っていく両者は、葛西が場外の机にデスペラードを寝かせてダイビングボディプレスでクラッシュさせれば、デスペラードも同じ攻撃で仕返し。その刺激のやりとりはタッグパートナーのDOUKIと本間朋晃にも波及し、4人全員が当然のように血まみれになりながら戦う姿に会場からは悲鳴も上がった。デスペラードと葛西は激しくやり合う、というのは訪れた全員が思っていたはずだが、思っていた以上だったのだろう。
DOUKIが真っ赤に染まる姿や、実はかつて大日本プロレスでデスマッチを牽引していた本間(葛西の先輩にあたる)がパイプ椅子やラダーを武器として楽しそうに使いこなす姿は、新日本のリングでの彼らしか知らないファンにとってかなり衝撃的なものだった。
しかしその悲鳴は、デスペラードがエルボーを打とうと力を入れると額から血が溢れだしたり、DOUKIがミサイルキックで飛ぶと同時に血が飛び出たりするほど凄惨な状況になった終盤には不思議となくなっていた。刺激は2人から4人に伝播しただけでなく、いつしか後楽園ホール全体を包んでいたのだ。