箱根駅伝PRESSBACK NUMBER

ヴィンセントに直撃「レン・タザワのことは意識するか?」…駅伝ファンに愛される“ヴィンちゃん”が見せた自信と謙虚さ

posted2022/05/16 17:00

 
ヴィンセントに直撃「レン・タザワのことは意識するか?」…駅伝ファンに愛される“ヴィンちゃん”が見せた自信と謙虚さ<Number Web> photograph by Shota Matsumoto/adidas Japan

ドイツで開催された「ADIZERO: ROAD TO RECORDS」に参加した東京国際大学4年のヴィンセント

text by

涌井健策(Number編集部)

涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui

PROFILE

photograph by

Shota Matsumoto/adidas Japan

 最強留学生が心の中に秘めた、「狙い」が見えたドイツでのレースだった。

 4月30日に、ドイツのアディダス本社周辺で開催されたタイムトライアルレース「ADIZERO: ROAD TO RECORDS」。約2.5kmの特設周回コースで争われ、ケニア、エチオピアの選手を中心とした強豪が集ったレースに、日本からは、國學院大の平林清澄と山本歩夢(ともに2年)、スターツの上杉真穂、そして東京国際大のイェゴン・ヴィンセント(4年)がエントリーしていた。

 その中で、もっとも「世界と戦う」ことを期待されたのが、10kmに出場したヴィンセントだった。箱根駅伝では1年生で3区、2年生で2区の区間記録を更新して駅伝ファンの度肝を抜き、5000mの自己ベストは日本学生記録となる13分15秒15。学生長距離界のランナーとしては駒大・田澤廉(4年)、そして順大・三浦龍司(3年)と並んで、もっともその将来を期待される大器である。

タイトな強行日程で海外レースに参加

 そのヴィンセントは、3月のパリハーフマラソン(61分18秒)、4月の金栗記念5000m(田澤に先着して13分21秒02)での好走を経て、この「ADIZERO: ROAD TO RECORDS」に臨んでいた。

 レース2日前にドイツ到着という強行日程。同じフライトでドイツに向かったがほぼ満席で十分に休めなかったはずで、レース直前にはPCR検査を受けるなどスケジュールはかなりタイトだった。またケニアやエチオピアの選手たちがそれぞれの所属チームごとにアップをするなかで、日本からきた彼だけポツンとひとりで走っているのをみると、ケニア出身の彼でもいわゆる”アウェーの空気”を感じたに違いないし、表情も心なしか硬いように見えた。

 それでも、このレースがいわゆるお披露目の場となった近日発売予定の新作シューズ「Adizero Adios Pro 3」を履いてスタートラインに立つヴィンセントの姿を見ると、期待に胸が膨らんだ。ロネックス・キプルト(ケニア)ら、世界大会でのメダル獲得経験のある選手と並んでも頭一つ抜けた長身と、胸部が張り出た上半身の大きさ。その体に宿った才能が決して世界トップにも劣らないことを感じさせる。

【次ページ】 レーススタート…もまさかの結果に

1 2 3 4 NEXT
イェゴン・ヴィンセント
東京国際大学
田澤廉
三浦龍司

陸上の前後の記事

ページトップ