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ヴィンセントに直撃「レン・タザワのことは意識するか?」…駅伝ファンに愛される“ヴィンちゃん”が見せた自信と謙虚さ 

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涌井健策(Number編集部)

涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui

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photograph byShota Matsumoto/adidas Japan

posted2022/05/16 17:00

ヴィンセントに直撃「レン・タザワのことは意識するか?」…駅伝ファンに愛される“ヴィンちゃん”が見せた自信と謙虚さ<Number Web> photograph by Shota Matsumoto/adidas Japan

ドイツで開催された「ADIZERO: ROAD TO RECORDS」に参加した東京国際大学4年のヴィンセント

「これから日本には帰らずに、ケニアでトレーニングをします。そして6月のケニア選手権(世界陸上の選考会)の1万mで勝負します。そこで世界陸上の出場権をとりたい」

 同行したスタッフによると、大学の授業はリモートなどでこなして単位もしっかりと取得予定だという。世界大会を狙える逸材だからこそスタッフは交渉をして、大学側が配慮をしたということなのだろう。

険しいケニア代表への道「(自信は)ありますよ」

 だが、ケニア代表の座を確保することの難易度は日本代表とは桁違いに高い。世界陸連(WA)の世界陸上向け特設サイトに掲載されたランキングによると、27分24秒42というヴィンセントの1万mのタイムは、ケニア選手で12位(5月14日現在)。ジョフリー・カムウォロルの27分01秒を筆頭に、26分台を伺う選手がひしめきあっている。

 その現状を踏まえて「かなり強い選手が多いけれど、自信はあるのか?」と聞くと、意外にも、静かに落ち着いた視線をこちらに向けて「もっと練習をしないといけないけど、ありますよ」という前向きな答えが返ってきた。

「いま日本で練習している自分のメリットは、ケニアよりもスピードに重点を置いた練習が継続的にできること。トラックで勝負するための速さを磨く意味ではケニアよりいいと思います。今回、ケニアに帰ってからは高地でエンデュランス(耐久力)を鍛えつつ、バランスのよいメニューでスピード持久力を強化してケニア選手権に挑むつもりです」

 そう語る彼の瞳は、戦いを前にしたアスリートというよりも、内省を忘れない哲学者のようで、だからこそ、その言葉にも説得力がこもる。そして「大学卒業後」のビジョンも、もう少し明確になっていた。

最後となる「箱根駅伝」でスピードを追求

「これから3、4年は1万mからハーフの距離で勝負をしていきたいです。いまの世界トップは、ハーフも極端に高速化していて、トラックと同じ1km2分40秒くらいが基本になっています。だからこそ、この2つは同時に挑戦ができると思います」

 つまり箱根駅伝で走る距離までを主戦場として、ひたすらスピードを追い求めていく、ということだ。そして、ヴィンセントは「フルマラソンはトゥーロング(too long)だから、そのあとで」と笑った。

【次ページ】 「レン・タザワのことは意識するか?」と質問すると…

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