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巨人阪神の参入、東京ドームで決勝戦、イチローも対戦…新時代を迎えた女子野球の現在地とは? プロリーグ消滅も競技人口は300→2000 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2022/04/27 11:00

巨人阪神の参入、東京ドームで決勝戦、イチローも対戦…新時代を迎えた女子野球の現在地とは? プロリーグ消滅も競技人口は300→2000<Number Web> photograph by Women's Baseball Federation of Japan

東京ドームで開催された全国高等学校女子硬式野球選抜大会。史上最多となる2690人の前で行われた

 選手たちの受け皿は各地域にも広がっている。

 中四国では同地域の高校・大学・専門学校・クラブチーム14チームによる『ルビー・リーグ』が発足し、九州には川端友紀ら日本代表選手数名が集ったクラブチーム・九州ハニーズが創設された。

 地域との連携も増えており、女子野球をシティプロモーションとして活用し地域活性化を目指す自治体を「女子野球タウン」として認定する事業は全国10の自治体に広がり、地域おこし協力隊に任命する形でチームを発足させた備前サンラッキーズや淡路ブレイブオーシャンズのような事例もある。

 そして前述の通り、4月3日には東京ドームで巨人・阪神戦後のナイトゲームとして女子の「センバツ決勝」が開催。福井工大福井vs神戸弘陵戦は女子高校野球史上最多となる2690人の前で試合が行われた。デーゲームのチケットを持った観客の観戦が可能だった効果も大きいが、多くの観客が延長戦にもつれ込む激闘を最後まで見届け、好プレーの数々に大きな拍手を送った。

 こうした試みや、昨年12月にイチロー氏率いるチームと女子高校野球の選抜チームが対戦できたこともそうだが、女子の高校野球には「プロ・アマの壁」もないことから積極的に様々な施策を打ち出せるのも大きな強みだ。

 まだ「女子が野球を当たり前にやれる環境」が十分とは言い難い面も当然あるが、近年の急拡大や発展を見れば、さらなる成長に期待が持てる。と同時に、女子野球が盛り上がりを見せていくことで、日本の野球界全体をあらゆる面から押し上げる存在にもなっていきそうだ。

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