新刊ドラフト会議BACK NUMBER
『日本人とエベレスト――植村直己から栗城史多まで』エベレスト登山はどう変わったか。「神の領域」に挑む日本人の50年。
text by
千葉弓子Yumiko Chiba
photograph bySports Graphic Number
posted2022/04/28 07:00
『日本人とエベレスト――植村直己から栗城史多まで』山と溪谷社編 山と溪谷社 2200円
「人類最高のトロフィー」のひとつであるエベレスト登頂という称号。地球上で最も天に近い8848mという場所への憧憬、世界一の山に登りたいという欲望は人間にとってプリミティブなものだろう。本書はそんなエベレスト登山における日本人の50年の記録をまとめたもの。
世界で最初に登頂したのは、1953年イギリス隊のエドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイだ。その後、スイス隊、中国隊、アメリカ隊、インド隊の登頂が続き、'70年に日本山岳会隊の松浦輝夫と植村直己が日本人で初めて登頂に成功する。同じ年、冒険家の三浦雄一郎もスキー隊を結成して入山し、7780m地点からスキーで初滑降を成し遂げていたというのが面白い。