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結婚6年目、小松原美里&尊夫妻が明かす“共働きアスリートのライフスタイル”「プロポーズはUSJ」「卵子凍結を考えています」
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph byAsami Enomoto
posted2022/04/22 11:01
北京五輪フィギュアスケート・アイスダンス日本代表の小松原美里、小松原尊(ティム・コレト)は、氷上のカップルであるとともに、国際結婚6年目のアスリート夫婦でもある
食事はお互いに食べるものが違うのでそれぞれです。私はリフトされる側なので体重が軽くないといけない。持ち上げる側の男性は、パワーが必要なのでしっかり食べないといけない。私はヴィーガン、ティムはグルテンフリーという選択をしているので、シェアできるものも多いけど、大体は別々に作って同じタイミングで食べています。
――共働き夫婦の将来設計を考えた時、特に女性は妊娠・出産をどのタイミングにするのか悩みどころです。美里さんは「卵子凍結」に興味を持っているとか。
美里 やはり女性アスリートは身体を鍛えているので、生理が止まってしまうことがあるんです。私の場合、あと4年は競技を続けたいけれど「大丈夫なのかな」という不安がありました。
ある時、卵子凍結をしたマラソンのアスリートが「凍結をしてより競技に集中できた」と話している記事を見たんです。不安がゼロにはならなくとも、卵子凍結という選択ができるのなら、してみたいと真剣に考えています。
尊 少しでも不安がなくなる方法が一番だと思います。僕にも不安はありますので、卵子凍結という選択肢はすごくいいと思う。
夫婦円満の秘訣は“伝えること”「生理の問題もそうです」
美里 女性には生理の問題もありますよね。私は生理になると、腰回りの感覚も変わるし、腹筋も使えなくなる。アイスダンスってコンタクトスポーツでもあるので、少しでもふらつくと大きなアクシデントになることもあるんです。男性には言わないと気づいてもらえないと思うので、「しんどい」と伝えることは大切だと思います。
――「一人になります宣言」もそうですが、言葉で相手に伝えることを夫婦間で大切にされているんですね。
尊 美里がイライラしていると「今日は僕のこと嫌いなのかな」とか「何か変なことしちゃったのかな」って悩んでしまうこともあったんです(笑)。だからこそ「今日はしんどいです」と言ってもらえるのは、すごく大事だと思いますね。
美里 そうそう。めちゃめちゃイライラしちゃうこともあるけど、実際は“しんどい”なんです。その感覚をティムにはちゃんと伝えるようにしています。「今日はとってもしんどい。だからいつも通りには動けないと思う」って。
尊 僕は姉が二人いるので、生理が恥ずかしいことではないと理解しています。美里とは夫婦になって6年目に入るので、今では言われなくてもたまにわかりますよ。生理の辛さに気づく大切さを、他の男性も分かってくれると嬉しいな。
美里 だよね。他のパートナーに伝えた時に「関係ねえじゃん」みたいに言われたこともありましたが(笑)、自分がしんどいと思うことは素直に伝えますね。共働きの女性で悩みを抱えている方は、まずパートナーに喋ってみたらいいのかなと思います。
――続く後編では、スポーツ界で問題視されているメンタルヘルスについてお聞きしたいと思います。
撮影=榎本麻美
〈#3へ続く〉