濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER

那須川天心のRISE卒業試合、“親子喧嘩”大苦戦の収穫とは? 6.19武尊戦「何が何でも勝つ」発言から読み解く、大一番の戦術 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

PROFILE

photograph bySusumu Nagao

posted2022/04/17 11:01

那須川天心のRISE卒業試合、“親子喧嘩”大苦戦の収穫とは? 6.19武尊戦「何が何でも勝つ」発言から読み解く、大一番の戦術<Number Web> photograph by Susumu Nagao

4月2日にRISEでのラストマッチを迎えた那須川天心。同門の風音と対戦した

歴史的な一戦、最前列チケットは「1席300万円」

 武尊戦の日付と会場(東京ドーム)が発表されたのは、風音戦の前日だった。4月7日の記者会見で発表された大会名は『THE MATCH』。リングサイド最前列のチケットが1席300万円であることも話題になった。実行委員はRIZINのCEOである榊原信行氏(株式会社ドリームファクトリーワールドワイド)、K-1の中村拓己プロデューサー、RISE伊藤代表が務める。この3人が表舞台で並ぶこと自体が歴史的な出来事だと言えた。

 会見には那須川と武尊も出席。しかし口数はそう多くなかった。あとはもう、万全の準備をして闘うだけだ。

「ここまできて言うことはないです。何が何でも、必ず勝ちます。これはキック最後の試合、人生の中でも大きなことなので。何が何でも勝ちます。それだけです」

 何が何でも勝つ。那須川にしては珍しい、シンプルな決意表明だった。風音戦では「親子喧嘩」というテーマを自らマスコミとファンに提示した。髪は金髪と青のツートンカラーでサイドにはハートマークの刈り込み。意味するところは「世界平和」だ。そこまで頭が回る男が言う「何が何でも勝つ」には相当な決意が込められているに違いない。

武尊戦、那須川の動きは“予想できない”

 風音戦後には「このままでは勝てない」と危機感も語った。一夜明け会見では「6月は自分の好きなようにやるしかない」とも。最良、最高、最強の那須川天心を作り上げてそのまま出すということか。

「いつもだったら攻めないようなところで攻めたりはできた。粗かったですけど」

 これは風音戦を振り返ってのコメントだ。では、ここから“粗さ”が取れたらどうなるのだろう。

 格闘技界でもトップの前進力、突破力を持つのが武尊だ。そんな相手に対してカウンターを狙うのか、あるいは風音戦の延長で前に出て攻め続けるのか。倒しにいくのか確実にポイントを奪いにいくのか。

 風音との試合はムキになって力んだ。だがその経験があるから、武尊戦は予測が難しくなった。「何が何でも」に多種多様なパターンが考えられるのだ。

 那須川天心と武尊。どちらが勝つかという前に“どんな那須川が見られるのか”という部分から興味深い。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

関連記事

BACK 1 2 3
那須川天心
風音
武尊

格闘技の前後の記事

ページトップ