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格闘技PRESSBACK NUMBER
「何度も無理だと思った」那須川天心vs武尊はなぜ実現した?「キック卒業を伸ばせないか」榊原信行の提案に“神童”の答えは…
posted2022/01/16 17:03
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Susumu Nagao
まさか本当に実現するとは夢にも思わなかった。昨年12月24日、都内のホテルで那須川天心vs武尊のドリームマッチが今年6月に開催されることが発表された。両者とともに会見に出席したRIZINを運営する株式会社ドリームファクトリーワールドワイドの榊原信行代表は、「途中で『実現は無理だろう』と思うことが何度かありました」と安堵の表情を浮かべた。
その一言に、筆者は大きく頷かざるをえなかった。那須川vs武尊を実現するためには、それぞれが活動の拠点とするRISEとK-1の間に、超えなければならない高い壁がいくつも存在していたからだ。
実現しなかった「沢村忠vs藤原敏男」の頂上決戦
格闘技の歴史を振り返ってみれば、似たような例はいくつかある。例えば、1970年代のキックボクシングブーム(最盛期には民放各局が争うように週1回ゴールデンタイムで定期放送していた!)を牽引した沢村忠と藤原敏男のライト級頂上対決は、ついに実現しなかった。
“人気の沢村・実力の藤原”といわれた両者だったが、活動の拠点とするプロモーションやテレビ局が異なるなど、さまざまな障害が実現を拒んだ。もし実現していれば、その後のキックボクシング界にどんな影響を与えていたであろうか。
那須川vs武尊も、沢村vs藤原と同じ運命を辿る。そう予想する識者は多かった。「やっぱり無理だよ」という悲観的な声を何度耳にしたことか。
いつしか那須川vs武尊の噂はピタリと止んだ。那須川のキック卒業へのカウントダウンが進んでいっても、「それはそれで仕方ない」と思うしかなかった。ただ、厳重な箝口令が敷かれる中、水面下では密かに対決に向けての話し合いが進行していた。
当初のXデーは昨年6月13日の東京ドームと設定されていた。大会はRIZINでもK-1でもRISEでもない、まったく新しいイベント。「2002年8月に国立競技場で行なわれた『Dynamite!』が復活する」という噂もあった。