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3年前、“巨人ドラ1”のストレートを受けた衝撃「佐々木朗希は別として、全国トップクラス」堀田賢慎20歳はここから逆襲できるか
posted2022/04/11 17:15
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sankei Shimbun
4月7日広島戦(マツダスタジアム)、2点先制してもらった、初回のマウンド。
広島の新外国人選手・マクブルーム一塁手にレフト上段に同点(2-2)にされる2ランを食らった時、巨人の先発・堀田賢慎投手(20歳)が、初めて見せる表情をした。
笑ったつもりだったのがうまく笑えず、泣き笑いになってしまったように見えた。
ボール1からの2球目。カウントを取りにいった速球が、真ん中ちょい外めに高く入った。腕の長い外国人選手には、打っていちばん距離の出るコース。打ってください……みたいなボールだった。
2死をとって、早くダグアウトに帰りたかったのだろう。焦る思いが、投げ急ぎを生んだ。こういう場面にいちばん投げちゃいけないボールを投げてしまっていた。
2回以降も、不運なヒットやバックの緩慢な守りがあって、さらに2点追加されて4回で降板となった堀田賢慎。
10イニング投げて無失点だったオープン戦に、公式戦初登板のヤクルト戦は先発の6イニングを無失点。ここまで順調に結果を積み重ねてきたが、どんな快腕、剛腕でも一度は経験しなければならない「プロの洗礼」を、公式戦登板2戦目で浴びることになった。
立ち上がりから、あふれる気迫が「気負い」となって、空回りしているように見えた。全力で腕を振っているわりに、ボールが走らない。
いつもよりゾーンがボール2つ分ほど高いのも、ボールが走っていないのを感じて、余計、力を入れて投げようとしているせいなのか。腕の振りの軌道がいつもより低く見えて、ボールを放すタイミングが早い。
キャリアの浅い投手によくある現象。いい時はいいが、悪い時は悪い。今日はイマイチだな……そこで「今日の自分」の修正点を見つけ、ただちに修正できるのが「大人の知恵」だ。プロ3年目、育成選手から支配下登録されたばかりの若ザムライには、まだそこまでの持ち合わせはなかったようだ。
「あっ、僕が堀田ですっ!」
青森山田高・堀田賢慎投手の全力投球を受けたのは3年前、彼が高校3年の秋の初め。
宮城・東北放送の番組取材でのこと……その評判は、春から聞いていた。